映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジュリー&ジュリア

2009年12月26日 | 映画(さ行)
おいしい映画を「ボナペティ!」

* * * * * * * *

この作品は、50年を経た二人の実在の女性をシンクロさせながら描いています。

1人は、1949年、第二次大戦後パリに赴任した外交官の妻ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)。

もう1人は現代、ニューヨークで9.11後の市民相談係を務めるジュリー(エイミー・アダムス)。


ジュリア・チャイルドは、好奇心旺盛。
陽気で大らか。
夫の転勤で、パリへきたものの、
それまでの自分の仕事はやめてしまったので、することがない。
何を始めようか・・ということで、最も自分が好きな食べることに着目。
名門の料理学校ル・コルドン・ブルーで、本格的なフレンチの料理を習います。
そうして、アメリカ向けに、家庭でも手軽に作れる料理の本を出版し、
アメリカの料理番組に出たりもするんですね。
それで、彼女はアメリカの食卓に一大革命をもたらした料理研究家として、一躍有名になる。


さて一方こちらはジュリー。
彼女は、仕事を持ちながら漫然と毎日が過ぎていくことがつまらなくなっている。
もっと何か自分しかできないようなことをやってみたい・・・。
そこで、もともと好きな料理を活かすことにして、
ジュリア・チャイルドが書いた本の524のレシピを365日で全て作ってみる、
という目標を立てました。
そして、それをブログに書き綴り、公表することに。
さて、ジュリアは無事にそれをやり遂げることができるのでしょうか。


この二人の女性に共通するのは、料理が好きなことのほかに、
素敵なだんな様の存在をあげることができるでしょう。
どちらも妻のすることに寛容で、協力を惜しまないのです。
食べることが好きで、いつも最も身近な味の評論家でもある。
もっとも、さすがにジュリーの夫のほうは、
ついに一度切れて家出をしてしまうのですが・・・。
けれど、この様に仲のよいご夫婦は、見ていても気持ちよいものです。
一番近くにいて、いつも見守り励ましてくれる存在。
これはやはり大切ですね。
1人では到底やりとげられなかったと思います。
あったかで、おいしくて・・・。
ほんのり幸せな気持ちになれる作品ですね。


さてそれから、ジュリーと同じく、ブログを書くモノとしては、
とても身につまされる部分がありました。

はじめたばかりの頃、書いても書いても、
果たして誰かが読んでくれているのだろうかとむなしい気持ちになる。
ブログを書くために、彼女は料理を作りますが、
私なども、ずいぶん時間をかけて映画を見たり、本を読んだりするわけです。
料理をした結果を書く。
本を読んだり映画を見たりした結果を書く。
本来そのはずなのに、いつの間にか
ブログのために料理したり、本を読んだり映画を見たり
・・・と主客が転倒してくるんですよね。
そこまですることの意義があるのだろうかと、疑問も感じてくる。
彼女のそうした苛立ちが、ほんとにリアルでした!!
でも、「ある程度見ていただいているようだ・・・」と実感すると、
またやる気が出てくるところも!!
まあ、私のブログなど、実際のジュリーのブログのアクセス数とは比較にもなりませんが。

メリル・ストリープ演じる陽気なオバサマが、とても素敵でした。
こんな方が、目の前で料理を作ってくれたら、
多少の失敗作でも、おいしい!と微笑んでしまいそうです。
この作品のために、相当体重を増やしたと思われますが、
女優さんも大変ですね。

「ボナペティ」とは「どうぞ召し上がれ」の意味。
ジュリア・チャイルドの決めゼリフですね。
・・・でもやっぱり私は、食べる方専門で行きたいデス。
女優でもないのに、体重増加気味というのはまずいのですけれど・・・。

2009年/アメリカ/123分
監督:ノーラ・エフロン
出演:メリル・ストリープ、エイミー・アダムス、スタンリー・トゥッチ、クリス・メッシーナ


Julie & Julia / 12/12(土)公開『ジュリー&ジュリア』予告編