映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジュリエットからの手紙

2011年08月07日 | 映画(さ行)
二重・三重の恋の行方



            * * * * * * * *

アメリカ作品ですが、舞台は「ロミオとジュリエット」の舞台となった
イタリア、ヴェローナです。

ニューヨークに住むソフィー(アマンダ・セイフライド)は、
フィアンセとの先取りハネムーンでこの街を訪れました。
ジュリエットの家のモデルとされる家には、
全国からジュリエット宛の恋の悩みの手紙が、毎日たくさん届きます。
この手紙に返事を書くボランティアたちに、ソフィーは興味を持つのです。
彼女はニューヨーカー誌の調査員で、本当は記者になりたいのです。
このことを記事にまとめてはどうかと思ったのですね。
そのソフィーが、50年前の手紙を発見。
当時イギリスからイタリアに来ていたクレアという女性が、
ロレンツォという男性と恋愛し、駆け落ち寸前までいったのですが、
怖じ気づいて帰国してしまったというのです。
この手紙にソフィーが返事を書き、
しばらくして、ご当人のクレア(ヴァネッサ・レッドグレーブ)という老婦人が
孫のチャーリー(クリストファー・イーガン)と共にやって来ます。
ロレンツォを探してみましょう!! 
女性二人はそのロマンに盛り上がるのですが、チャーリーは冷ややか。
何しろはじめ、
「こんな手紙を祖母に出したのは誰だ!!」
と、怒鳴り込んできたくらいです。
思い切り相性の悪いソフィーとチャーリーなのですが・・・。


ソフィーは先取りハネムーンでイタリアに来ていたのです。
では、彼女がロレンツォ探しをしている間、お相手はどうしていたのか。
彼、ヴィクター(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、
まもなくイタリアンのレストランを開くのですが、
そのためワインや食材の仕入れに夢中。
ソフィーのことはほったらかし。
ソフィーはソフィーでロレンツォ探しにのめり込み、
全く別行動になってしまいました。


さあ、何となくこの辺りで想像はつきますけれど、
ロレンツォは無事見つかるのでしょうか? 
そして、ソフィーの愛の行方は・・・?


ヴェローナ、このいかにもヨーロッパの古都の風景がいいですね。
郊外に出れば丘陵地帯に広がる葡萄畑。
こんな所を毎日一緒にドライブをすれば、心動かされない方がどうかしている・・・。
でもなかなか不器用な二人、
はらはらしつつ、切なくもあり、
ラブストーリーの王道を行きます。
チャーリーはロマンを解さない超現実主義というわけではないのですね。
ロレンツォ探しがうまくいかなかったときの祖母のことを心配していたのです。
この二重・三重のラブストーリーは、
私たち女性の心を惹きつけて止みません。
なんだかんだといっても、やっぱり私は単純にこういう作品が好きだなーと
あらためて認識してしまいました。


ソフィーのフィアンセ、ヴィクターのキャラは、私は好きですけどねえ。
仕事一途で陽性。
ガエル・ガルシア・ベルナルだし・・・。
ソフィーが
「ハネムーンみたいな旅行なのに、あなたは仕事に夢中で、別行動。こんなのおかしい。」
というのですが
「だけど、これが僕なんだ。変えられない・・・」
と、きっぱり。
うーん、これは捨てがたいですけどねえ・・・。

一方チャーリーのセリフもいい。
まもなくロレンツォ探しも終わりに近づくころのこと。
「日曜日の小学生みたいな気持ちだ・・・。
このまま月曜が来て欲しくない。」
そうですよね。
ヴェローナでのバカンス。
別に好きな人ができなくても、私ならそう思う・・・。
それに応えてソフィーは
「私もそう。・・・学校はキライじゃないのに。」
ここですなわち、「学校」はフィアンセのヴィクターを指しているわけです。
揺れ動くソフィーの心。

ラブストーリーの好きな方は必見です!

なお、本作の監督ゲイリー・ウィニック氏は、
本作完成後、2011年2月に49歳で病没されたそうです。
合掌。

2010年/アメリカ/105分
監督:ゲイリー・ウィニック
出演:アマンダ・セイフライド、ヴァネッサ・レッドグレーブ、クリストファー・イーガン、ガエル・ガルシア・ベルナル