死ぬも地獄、生きるも・・・
* * * * * * * *
この作品の撮影当時、新藤兼人監督は98歳。
もちろん日本最高齢の監督ですが、この作品を機に引退宣言をされました。
この作品は、監督自らの実体験を元にした作品です。
「原爆の子」や「第五福竜丸」など、
骨太作品も多く残している監督の引退作にふさわしい作品。
戦争末期、中年ばかりが100名招集された部隊がありました。
上官がくじをひき、彼らの行き先が決められます。
松山啓太(豊川悦司)は宝塚となりましたが、
友人の森川(六平直政)はフィリピンへと決まりました。
その森川は、妻の友子(大竹しのぶ)から来た手紙を松山に預けます。
もし生きて帰ることができたら、ハガキは読んだと妻に伝えて欲しい、と告げて。
結局この100名のうち、生き残ったのは6名。
つまりはあのくじ引きこそが、生死を分けるくじ引きだったのです。
単にくじ運の良さだけで生き残ってしまった松山。
終戦となり帰ってみれば、
なんと妻と父が手に手を取って奔走し、家はもぬけの殻。
一人むなしい日々を送る松山は、
森川から預かったハガキを思い出し、彼の妻を訪ねます。
ところがこの妻も戦争でさんざんな目に遭っていました。
夫が戦死した後、その弟と再婚し婚家に残るのですが、
その弟もまた招集され戦死。
気落ちした父母も相次いで亡くなり、
水道も電気もない貧しい家にただ一人残され、
それでも必死に生きていたのです。
一体何のための戦争だったのか。
戦争に行くも地獄。
残るも地獄。
どれだけの人の運命がこのために狂ってしまったのか、
考えるだけでも恐ろしいですね。
戦地に行かないにしても、このような戦争体験のある映画監督は、
今となっては大変貴重な存在です。
実体験はやはり強いです。
私はこの作品で、大竹しのぶさんの女優魂を見ました。
迫力に満ちた呪詛のセリフの数々が、胸にしみます。
そしてまた、あの重い水桶をよくぞ運んでいました!!
意地というか、ど根性ですね。
何にしても、苦難を乗り越え、また私たちは生きていく。
そういう力を与えてくれた気がします。
これは、この度の震災の復興にも通じるものがありますね。
おっと、
どうにもならない自然災害と、人が引き起こした戦争を
同じく論じてはいけませんが・・・。
「一枚のハガキ」
2011年/日本/114分
監督・脚本:新藤兼人
出演:豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、柄本明、倍賞美津子、大杉漣
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この作品の撮影当時、新藤兼人監督は98歳。
もちろん日本最高齢の監督ですが、この作品を機に引退宣言をされました。
この作品は、監督自らの実体験を元にした作品です。
「原爆の子」や「第五福竜丸」など、
骨太作品も多く残している監督の引退作にふさわしい作品。
戦争末期、中年ばかりが100名招集された部隊がありました。
上官がくじをひき、彼らの行き先が決められます。
松山啓太(豊川悦司)は宝塚となりましたが、
友人の森川(六平直政)はフィリピンへと決まりました。
その森川は、妻の友子(大竹しのぶ)から来た手紙を松山に預けます。
もし生きて帰ることができたら、ハガキは読んだと妻に伝えて欲しい、と告げて。
結局この100名のうち、生き残ったのは6名。
つまりはあのくじ引きこそが、生死を分けるくじ引きだったのです。
単にくじ運の良さだけで生き残ってしまった松山。
終戦となり帰ってみれば、
なんと妻と父が手に手を取って奔走し、家はもぬけの殻。
一人むなしい日々を送る松山は、
森川から預かったハガキを思い出し、彼の妻を訪ねます。
ところがこの妻も戦争でさんざんな目に遭っていました。
夫が戦死した後、その弟と再婚し婚家に残るのですが、
その弟もまた招集され戦死。
気落ちした父母も相次いで亡くなり、
水道も電気もない貧しい家にただ一人残され、
それでも必死に生きていたのです。
一体何のための戦争だったのか。
戦争に行くも地獄。
残るも地獄。
どれだけの人の運命がこのために狂ってしまったのか、
考えるだけでも恐ろしいですね。
戦地に行かないにしても、このような戦争体験のある映画監督は、
今となっては大変貴重な存在です。
実体験はやはり強いです。
私はこの作品で、大竹しのぶさんの女優魂を見ました。
迫力に満ちた呪詛のセリフの数々が、胸にしみます。
そしてまた、あの重い水桶をよくぞ運んでいました!!
意地というか、ど根性ですね。
何にしても、苦難を乗り越え、また私たちは生きていく。
そういう力を与えてくれた気がします。
これは、この度の震災の復興にも通じるものがありますね。
おっと、
どうにもならない自然災害と、人が引き起こした戦争を
同じく論じてはいけませんが・・・。
「一枚のハガキ」
2011年/日本/114分
監督・脚本:新藤兼人
出演:豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、柄本明、倍賞美津子、大杉漣