映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

屋根裏部屋のマリアたち

2013年03月09日 | 映画(や行)
スペイン人メイドたちの生活に感化されて・・・



            * * * * * * * * *

1960年代、パリ。
株式ブローカーで資産家のジャン・ルイは、
妻と過不足ない生活をしていましたが、何かに倦んでいます。
そんな時、新しく入ったスペイン人のメイド、マリアの活き活きとした魅力に触れ、
開放的なスペイン人メイドたちの生活に溶けこむようになっていきます。

何やら普段と様子の違う夫を、
妻は顧客の未亡人との浮気と勘違いし、家を追い出すのですが、
ジャン・ルイは6階のメイドたちの居住区の一室に転がり込み、
意外にも自由を満喫するのでした・・・。



何時の世もこうした図式はあるのですね。
富裕層の多い都会に、貧しい国の人々が出稼ぎに来て、下働きをする・・・。
これまでジャン・ルイはメイドたちの生活になど、何の興味も持っていなかったし、
考えてみようなどと思ったこともないのでしょう。
マリアの魅力に惹かれて・・・というのはまあ、不純な動機ではありますが、
貧しくても明るく精一杯働く彼女たちに、
ある種の感慨を受けるのは当然の事のように思います。
特に、彼の職業が、実際に額に汗をして労働したり具体的に何かの商品を売るのではない、
資産運用というものであるのがミソです。
そうしてお金を得ていることに、
何か後ろめたさのようなものがあるのでは・・・?



一方、妻の方も、いつしか夫のこうした気持ちを理解していくというところがステキでした。
彼女自身、田舎の出身で、
きらびやかなパリのご婦人たちとの付き合いに
何か気後れのようなものを感じていたようです。
そして彼女自身もこの生活に倦んでいたことが伺われます。
家事を一切メイドに任せ、遊び歩くにも倦んでしまう・・・
そんな生活を一度はしてみたいものだ、などと思わなくもないですが。
でも確かに、これで夫の心が離れて行ったりしたら、
もう自分は誰からも必要とされていないと思ってしまいますよね。



毎日元気で人に必要とされて働く。
これが生きるということなんだなあ・・・。

屋根裏部屋のマリアたち [DVD]
フィリップ・ル・ゲイ,ジェローム・トネール
アルバトロス


「屋根裏部屋のマリアたち」
2010年/フランス/106分
監督:フィリップ・ル・ゲイ
出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス

心の開放度★★★★☆
満足度★★★☆☆