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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

東ベルリンから来た女

2013年03月20日 | 映画(は行)
彼女なら、どこにいても強い意志で生き抜けるかな?



            * * * * * * * * *

ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。
ある海辺の田舎町の病院に、美しい小児科医バルバラが赴任して来ました。
彼女は西側に恋人がいて、
西へ移住申請を出したために東ベルリンから左遷されてしまったのです。
しかも、秘密警察シュタージによる相互監視システムで、常に監視されています。
実はそれでもなお彼女は、西側の恋人の元へ脱出する計画を進めています。
赴任先では、同僚の医師アンドレが何かと親切にしてくれるのですが、
彼女ははじめそれも監視のためかと疑います。
けれど彼の真摯な医療への取り組みに、次第に心動かされていくのです。
ラストでは、
医師としての自分を求められている東か、
自由で豊かな西か。
そして二人の男性のどちらか・・・。
究極の選択を迫られることになるのです。



情熱をうちに秘めた強い意志を持つ女性。
自転車で緑の中を走り抜ける彼女の姿が、とても魅力的かつ印象的です。

「善き人のためのソナタ」にも描かれていた秘密警察、シュタージ。
あの時はあれだけの手間と人員を割いて
一人の人間を監視する意味がどこにあるのか、と思ったものですが、
やはり今作でも同じ思いでした。
そうまでして何を守ろうとしていたのでしょう・・・。
そんなだからこそ、多くの人が西へ逃亡しようとするわけで・・・。
バルバラへの冷徹な監視の有様を見ると、
どんなにか彼女がこんな国を逃げ出したかったのか、
ものすごく納得できてしまいます。

 

けれど、彼女は自分自身の道にも思いを馳せるわけです。
自分だけが逃げ出していいのか。
この町の医療は・・・、
そしてアンドレは・・・?
自分が自分の足で歩むための決断は、見ていても気持ちのよいものです。
ラストのアンドレの表情が良かったなあ・・・。
こんなふうに、ちょっとがっちりしていて男っぽくて、
でも気持ちはとても優しくて料理なんか作ってくれる・・・・
うう、ものすご~く私のタイプです。
(それはどうでもいいか)



「東ベルリンから来た女」
2012年/ドイツ/105分
監督:脚本:クリスティアン・ペッツォルト
出演:ニーナ・ホス、ロナルド・ツェアフェルト、ヤスナ・フリッツィー・バウアー、マルク・バシュア、ライナー・ボック

歴史掘り起こし度★★★☆☆
緊張度★★★★☆
満足度★★★★★