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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

クラウド アトラス

2013年03月26日 | 映画(か行)
時空間を交差するそれぞれのストーリー



            * * * * * * * * *

過去・現在・未来…そして空間をも交差して語られる6つのストーリー。
登場人物は同じキャストが様々な役で何度も登場。
全くバラバラのようでいて、どこかつながりをみせつつ
それぞれが一気に怒涛のラストへと盛り上がっていくという超・力作でありました。


ある男の航海の物語。

幻の名曲の誕生秘話。



原子力発電所の陰謀。



ある編集者の虐待ホーム脱出譚。

クローン少女の自意識の目覚め。



そして崩壊後の地球。



今作では死は終わりではなく、新たな生への扉であると捉えられています。
だから何度も生を繰り返すことの表現のため、
どの時代にも同じ俳優さんが登場してきます。
時には人種も性別までも変わっているので、驚き・・・。
エンディングロールでその紹介があるのですが、
全く気づかなかったものも多くて、驚き呆れました・・・。
坊主頭でヤクザのトム・ハンクスなんて、ちょっと笑っちゃいますが。
異彩を放っていたのは、ペ・ドゥナさんのソンミ。
東洋人の神秘的なムードがなんといってもここでは光りますね。
でもこれ、「バベル」の菊地凛子さんのイメージに似ています。
そういえば、関連の無さそうなストーリーが並行して語られていって
実はほんのちょっとつながっている、
という作品の構成自体も似ているのでした。


さてこの作品、特に宗教的に輪廻転生を説いているというわけではありません。
トム・ハンクスは、はじめたちの悪い殺人者として登場しますが、
転生を繰り返すうちに次第に魂の成長が見られていくというあたりが、本筋でしょうか。
ただ転生があるから・・・ということで、
案外あっさりと人々が死んでいってしまうのが、私にはちょっと不満でした。
“転生”というのは私にはよくわかりませんが、
無数の人々がこうやって太古から一人ひとりつながりながらここまで来て、
そして未来に向かってまた歩み続けるのだなあ・・・と、
そういう命の連鎖を歌ってくれたほうがしっくりくるような気がしました。



全体としては壮大で良くできているなあ・・・とは思いながら、
いまいち私にはのめり込めませんでした。
ストーリーを理解するのに忙しすぎて味わうスキがなかったのかもしれないし、
俳優さんたちの変装ごっこが鼻についてしまったりもして・・・。
本当はもう一度見たほうがいいのかもしれませんが、
でも2回見たいと思う程でもないというところです
(長いし)。

「クラウド アトラス」
2012年/アメリカ/172分
監督:ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクバ
原作:デビッド・ミッシェル
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィービング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ヒュー・グラント

時空自在度★★★★☆
変装のお楽しみ度★★★★★
満足度★★★☆☆