映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「猫なんかよんでもこない」 杉作 

2012年12月27日 | コミックス
男子の不器用な猫への愛。

猫なんかよんでもこない。 (コンペイトウ書房)
杉作
実業之日本社

            * * * * * * * * *

この愛くるしい猫のイラストに、もう少しメルヘンチックなストーリーかと思ったのですが、
今作は著者杉作氏の青春の挫折と再生を描く、味わい深いストーリー。
良い方に期待は裏切られました。


杉作氏は、もとプロボクサーという漫画家には珍しい経歴の持ち主。
漫画家だったのは彼のお兄さんで、
ある夜、二匹の子猫を拾ってきたのです。
男の子がクロ。女の子がチン子。
この名前にはちょっと異議がありますが、
著者の故郷で"小さい"ことを"チンコイ"というので、そこから来た名前とのこと。
(北海道でもチンコイは、使います。)
ミツオ(杉作氏)はもともと猫は好きではなかったのです。
猫なんか、呼んでも来ませんしね・・・。
ところがお兄さんが家業を継ぐため故郷に帰ってしまい、
ミツオはわけあってボクシングの道を断念せざるを得なくなります。
仕事もなくお金もなく、ほとんど引きこもり状態のミツオは、
猫と共に密やかな生活を続けることになる。
そんな日々を綴ったストーリーですが、
これが意外と悲しい方向へ進んで行きます。
この猫の可愛さに騙されますが、
非常にリアルなストーリーなのです。
しみじみと、読みふけってしまいました。


女の子が猫を可愛がるのとはどこか違う。
男子が猫を可愛がるというのはこんな感じなのかと、ちょっと面白く思いました。
不器用な愛情表現。
これもよし、ですね。


このクロとチン子は、ぜひ羊毛フェルトで作ってみたい!!
うまくできたら、ご紹介しますね。

ところで、どうでもいいことですが、
このミツオの顔、どれがまぶたでどれが目なのでしょう・・・。
誰か教えて・・・。

「猫なんかよんでもこない」 杉作  実業之日本社
満足度★★★★☆


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