渡り鳥と共に旅する
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鳥類研究家で気象学者でもあるクリスチャン・ムレクが
実際に飛んだ超軽量飛行機でのノルウェー~フランスの旅を元にしたストーリーです。
渡り鳥のガンの研究をしている風変わりな気象学者・クリスチャン。
超軽量飛行機を使って絶滅危惧種の渡り鳥に
安全な飛行ルートを教えるというプロジェクトに夢中です。
彼の息子・トマは、離婚した妻とともに暮らしているのですが、
夏休みの間、クリスチャンの元で過ごすことになりました。
都会育ちのトマはオンラインゲームに夢中。
電波も届かず、自然の他に何もないこんな地で過ごすことに不満いっぱいです。
ところが、ガンが卵から孵化するときにトマが居合わせたことから、
ガンの「父親」になってしまったトマ。
次第に父のプロジェクトに引き込まれて行きます。
私、以前に多分「グース」という作品だったと思うのですが、
本作同様、渡り鳥を飛行機で誘導するストーリーを見たことがありまして、
いたく感動したのでした。
だからまあ、その二番煎じとも思える本作はあえて見なくてもいいかなあ
・・・と思ってはいたのですが、やはり結局見てしまい、
そしてまた、改めて感動したのでした!!
ノルウェー~フランスというと、地図でいえばすぐ近く。
でも実際はガンが夏を過ごす北極圏~南フランスまでで、
相当な距離になります。
父親とトマが力を合わせながら飛んでいくのだろう、と思ったら、
なんといきなりトマ1人での旅立ちとなってしまうという展開。
スリルたっぷりです。
そしてこれは現代の話なので、
そんな様子を目撃した人の動画がSNSで瞬く間に拡散されて、
トマは行く先々で人々の歓迎と援助を受けるようになっていくのです。
心温まります。
鳥たちの中には一羽だけ異種のガンが混じっています。
孵化させるための卵に、別のものが混じってしまっていたらしい。
父親とその友人は異種のガンを一緒にしてはダメ、というのですが、
トマは聞き入れません。
「なんで差別するの?」というその言葉は、
多様性が問われる今、逆らいがたい力がありますね・・・。
実際には、繁殖の問題があって、
自然界に人の手が加わった変化をもたらすべきではないという考えがあるのだと思います。
さて、鳥たちを引き連れた旅が成功したとして、
渡りの時期に実際に鳥たちがその道をたどって飛んでいくことができるのか・・・?
そこが本当は重要な所なのです。
さあ、どうなるでしょう。
お楽しみに!
大自然の中で生きる動物と人との関わり、そして少年の成長、
どれも私のツボなので感動の渦でした。
<Amazon prime videoにて>
「グランド・ジャーニー」
2019年/フランス・ノルウェー/113分
監督:ニコラ・バニエ
出演:ジャン=ポール・ループ、メラニー・ドゥーテ、ルイ・バスケス、フレッド・ソレル
冒険度★★★★★
規則破り度★★★★★
(でもやっぱり規則は守ろうよ・・・!)
満足度★★★★☆
CGをほとんど使っていないとは驚きです。
父親のところに来てから柔らかい表情を見せるようになり、つるんとしたお肌の都会の少年が日焼けと肌荒れで小汚い感じになっても却って爽やかに感じました。
少女に名前を聞かれて「ニルス」と答えたシーンが微笑ましかったです♪
母親のボーイフレンドが気の毒だったかな。
そう、規則は守らなくっちゃね。
先日みた「約束の宇宙」という作品でも、見られた規則破り。
検疫のため必要な事柄の無視は、今だからこそ、それは非常にマズイ!!と過剰に反応してしまいます。
笑って見逃せた頃が懐かしい・・・。