映画と本の『たんぽぽ館』

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ゼロ・ダーク・サーティ

2013年02月24日 | 映画(さ行)
闇夜を手探りで・・・



            * * * * * * * * *

2011年5月、オサマ・ビンラディンの捕縛と暗殺作戦の裏側を描いた作品です。
多数の当事者の証言に基づき、
かなりリアルに事件を再現しているといわれています。



あの9.11同時多発テロ後、
巨額の予算をつぎ込みながら、ビンラディンの行方については何の手がかりも得られずにいたアメリカ。
CIAパキスタン支局にテロリスト追跡を専門とする女性分析官マヤがやってきます。
彼女は情報収集と分析の天才的感覚を認められて抜擢され、まだ20代。
捕縛されたテロリストへの拷問に目をそむけるなど気弱なところも見受けられましたが、
彼女の親しくしていた同僚がテロで命を落としてから、彼女の執念が燃え上がります。



それにしても最期の作戦、
確たる確証がないままに決断を下すことの怖さがひしひしと伝わりました。
万が一間違いだったらどうなるのか・・・
誰も責任を取りたがらない、というのは無理もないことかも知れません。
ゼロ・ダーク・サーティ、深夜0時30分に作戦は実行されます。
他国の領空を、密やかに米軍のステルスヘリが行く。
標的はビンラディンが潜んでいるであろうと思われる民家。
ひと目を避け、明かりをつけることもできない。
赤外線スコープにぼんやりと浮かび上がる光景。
思えばこの作戦自体がこんなふうに闇夜を手探りで探るようなものですね。



結果は事実が証明しているわけですが、
そうではあっても、非常にリアルですごく緊張感がありました。
そしてまた、この結末に快感はありません。
一つの問題に片がついた、そういう安堵があるだけで、充足感も幸福感もない。
見事に現代を切り取った問題作。



「ゼロ・ダーク・サーティ」
2012年/アメリカ/158分
監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガートン、ジェニファー・イーリー、マーク・ストロング

緊張感★★★★★
リアル度★★★★☆
満足度★★★★☆


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