ショボクレ男の内に秘めた純愛
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う~ん、実に面白い!
いきなりきめゼリフですね。
意外ですが、この作品、まだ見てなかったんですね。はい、これは東野圭吾氏原作の本を直木賞を受賞した時に読んでますから。
特に見なくてもいいかなあと思っていたんです。
でも、今日、時間的に都合が良いのがこれしかなかったもんで・・・。とはまた、ずいぶん消極的な・・・。
近頃あんまり前評判の高いものって、敬遠してしまうという、天邪鬼な私の性格な んで・・・。
でも、TVの探偵ガリレオシリーズでなじんでるので、なんだかすんなり入っていけそうですよね。
そうですね。だから失敗はないだろうと思ってみたわけですが、
・・・いやはや、ほんとに手放しに面白いです。もともと、原作がいいんですよね。
うん。
テレビのガリレオより、もっとずっと前ですけど、
普段あんまり本を読まないような人が、「すごく面白かった」といってましたから。
そこへ来て、福山雅治だし。
今回は堤真一に松雪泰子だもんねえ・・・。これで面白くなかったら、怒っちゃう。
さっきから面白い面白いって言ってますが、これはコミカルに面白いのではなくて、
見ごたえがある、という意味ですね。はい。
人生に絶望した天才数学者、石神(堤真一)は、隣人の花岡靖子(松雪泰子)に淡い思いを抱いているのです。
母と娘の二人暮らし。
そこへゴロツキの別れた亭主がやってくる。
言い争ううちにその元亭主を殺してしまった。
安普請で物音が筒抜けのため、石神は気配で出来事を察し、
母娘に手助けを申し出る。
この天才的頭脳で作り上げたアリバイを、警察はどうしても崩せない。そこへ乗り出すのが、こちらは天才物理学者の湯川、というわけですね。
ここがミソなんですが、この湯川と石神は大学時代の一目おく友人同士。
この二人の静かなる対決・・・となるんですね。初めから犯人はわかっているので、本で読んでいても、さほどさしつかえないということなんですね。
そうなのです。
しかも、おあつらえ向けに、肝心のトリックを良く覚えていなかったもんで、
本気で興味深くみましたね。
終始、背中を丸めてしょぼくれた石神。
その石神が用いたトリックというのがすごいです。
そこまでするか・・・というこの手段は、彼の内に秘めた愛・情熱を雄弁に物語っているわけなのです。単なるミステリを超えた感動作となっているんですよねえ・・・。
ただし、被害者にとってはとんでもない災難なんですけど・・・。
ここはやはり、きちんと罪を償いましょう・・・。
TVシリーズの映画化というのは、初めからある程度の人物設定がわかっているので、見やすいというところはありますね。
そこへもって、この折り紙つきの原作だったので、やはりこの作品はかなりのお勧め作といえます。意地はって、見ないでいるほどでもなかったね。
う~ん、でも映像的にはDVDでも十分かも・・・。
2008年/日本/128分
監督:西谷弘
出演:福山雅治、堤真一、松雪泰子、柴咲コウ