映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サイド・エフェクト

2013年09月12日 | 映画(さ行)
エゴ丸出し、したたかな人々



* * * * * * * * * *

ジュード・ロウ出演、これは見なくてはと思いつつ、
他の出演者を見てみれば、
ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム、
おやまあ、なんと豪華な出演陣。
期待が高まってしまいますね。



夫が株のインサイダー取引で収監されたエミリー(ルーニー・マーラ)は、
かつて患った鬱病を再発してしまいます。
精神科医バンクス(ジュード・ロウ)が処方した新薬で
鬱症状は改善するのですが、
副作用(サイド・エフェクト)で、夢遊病を発症してしまいます。
エミリーは意識のない夢遊状態で、
夫マーティン(チャニング・テイタム)を殺害してしまうのです。
主治医としての責任を問われ、社会的信用を失ったバンクス。
しかし彼は独自に調査を続け、衝撃的真実にたどりつくのです・・・。



人の本当の奥底を知ることはできない・・・。
上記あらすじを読むと、ジュード・ロウはいい役のように思えるかもしれません。
でも違うんだなあ・・・。
確かに始めはマトモというかそれ以上の医師でした。
しかし、自分の守ってきたものが壊された時、
彼は変貌していく。
手段を選ばず、エゴ丸出しで自分の立場を立て直そうとしていく。
それはほとんど復讐のようでもあります。
しかし、そうでもしなければ立ち行かないほどに、
彼の敵も又誠実とは程遠く、したたかでした。

 

豪華な出演陣はすなわち、
強烈なエゴを持った人々を演じるためのもの。
いや、さすがでした。
本作、現実的な新薬開発の裏の恐ろしさを訴える作品なのかと思っていたのですが、
それはほとんど舞台背景にしか過ぎない。
それよりも恐ろしい、人が持っている心の“毒”について語っているように思います。
(今やっているTVドラマ「名もなき毒」に、ちょっと影響されました(^_^;) )


スティーブン・ソダーバーグ監督は、
今作で劇場作品引退表明をされています。
今後はTV作品中心に活動されるとか・・・。
非常に惜しいですね。

2013年/アメリカ/106分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム

俳優それぞれの迫力度★★★★★
衝撃の真相度★★★★☆
満足度★★★★☆

「天国旅行」 三浦しをん 

2013年09月11日 | 本(その他)
死を胸に抱きながら生きる

天国旅行 (新潮文庫)
三浦 しをん
新潮社


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現実に絶望し、道閉ざされたとき、
人はどこを目指すのだろうか。
すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。
富士の樹海で出会った男の導き、
命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、
前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、
一家心中で生き残った男の決意―。
出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。
すべての心に希望が灯る傑作短編集。


* * * * * * * * * *


三浦しをんさんの短篇集。
本書は、「心中」を共通のテーマにした短篇集である。
と、著者による記述があります。
本作は「死」を扱っているのだとは気付きましたが「心中」だったとは・・・、
そこまで私は読めていませんでした。


一作目「森の奥」は富士の樹海に迷い込んだ二人の話。
富士の樹海といえば自殺の名所。
富山は確かに自殺しようとここにやってきたのですが、
青木という男に救われてしまいます。
こんな遊歩道に近いところではすぐに人に発見されてしまうと彼は言う。
富山は青木に案内を頼み、樹海の奥深くへとさまよい歩くことに・・・。
そもそもこの青木自身も死ぬためにここへやってきたのではないか。
この二人の付かず離れずの距離感がよいのです。
三浦しをんさんの男二人の描き方には、いつもしびれさせられます。
ラストはなんとなくそうなるのではないかと思ったのですが、
うん、それで正解。
納得の一作。


「君は夜」
理紗は、子供の頃から不思議な夢をみる。
それは夢というよりは、もうひとつの人生といってもいいくらいにリアルなもので、
江戸時代、彼女はお吉という名で、小平という男と一緒に住んでいるのだった。
それはもしかしたら理紗の前世なのかもしれないけれど、
夜毎江戸時代に生きる理紗は、
狂おしい女の情念を身にまといつけていく・・・。


「SINK」
悠助は、子供の頃に一家心中で父母と弟を亡くし、
だた一人生き残ったという経験を持っています。
友人悦也の助力もあり、今は工芸の金属造形でなんとか独り立ちし食べていける。
今も車ごと水に落ちた恐怖に夢でうなされ、
自分の足首を掴んだ母親のひんやりした感触が忘れられない。
そんな彼の複雑な友への感情。
この二人の距離感も又、やはり三浦しをんさんだな・・・と思わせられます。
悠助は悦也が苦手で嫌いで・・・、
でももちろんそれだけではないですよね。
ふとしたことで忌まわしい記憶が別のものへと変わっていくというのもいい。
溶接の熱とは裏腹にひんやりとした感触の一作。


紹介しきれなかった作品も、どれも好きです。
「死」がテーマではありますが
これらの作品の主人公達はやっぱり生きるのです。
「死」に一番近いところに行ったからこそ
生きる意味も生まれるのでしょう。
死を胸に抱きながら生きる・・・。


「天国旅行」三浦しをん 新潮文庫
満足度★★★★★

チャイルドコール 呼声

2013年09月10日 | 映画(た行)
記憶が現実とは限らない



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「ミレニアム」シリーズでおなじみのノオミ・ラパス出演、
ということで興味を持って見てみました。
札幌では一週間限定上映。



夫の暴力・虐待から逃れ、8歳の息子アンデシュとともに
郊外のアパートに越してきたアンナ。
夜の間、子供部屋の息子の様子を知るために
チャイルドコール=監視用音声モニターを買い求めます。
うんと小さいうちから子供を一人で寝かせる習慣のある欧米ならではのものですね。
つまりトランシーバーのようなもので、
子供部屋の音を同時に母親が寝室で聞くことができるわけです。
普通赤ん坊に使うもので、8歳の子供にというのは異例。
いくらなんでも過保護で神経質というアンナの問題もかいま見えるのです。



ところがある夜、チャイルドコールから子供の悲鳴が聞こえてくる。
慌てて息子の部屋へ行ってみると、すやすや静かに寝ています。
機械を買った電気店の店員ヘルゲに聞いてみると、
どこか他の部屋の音が混線して聞こえているのではないかという。

しかしまたある時、何か争うような音が聞こえ、
その後、アンナは駐車場でブルーシートに包んだ大きな荷物を車に積んだ男を目撃してしまう。
このアパートの一角で、何か恐ろしいことが行われたのではないか・・・
そう疑うアンナですが、彼女の身辺では他にも不可解な出来事が発生します。
そして彼女は自分の記憶がところどころ途切れていたり、
記憶違いがあったりするのを自覚します。
森の小道を抜けると、そこにあった静かな沼。
しかし、次のとき、沼はすっかり消え去っているのです。
これには私達もガーン!とショックを受けてしまいます。
まさに、アンナが味わったショックを。



自分が正常でいなければ、息子を父親に取られるかまたは施設に入れられてしまう
・・・そう思えば思うほど過敏になり、混乱していくアンナ。
これはオカルトなのか、
それとも壊れた心のなせる技なのか・・・。
次第に私達も混乱してきます。


アンデシュが連れてくる友人というのが、なんだか嫌な雰囲気をまとった子で、
彼は一体何者なのか?
・・・おそらく彼こそが、今虐待を受けている子らしいとまでは想像がつくのですが・・・。


実は本作のオフィシャルサイトに、
非常に詳細なこの作品の読み取り方がのっていまして、
私はこれを読んで、自分がなんと何も見ていなかったのかと、
愕然としてしまいました。
もっとも、完全ネタばらしとなっていますので、
やはり映画を見る前には読まないほうが良さそうです。
ヒントはつまり、本作は全てアンナ目線で語られている、というあたりでしょうか。
ここまでアンナが混乱しているのは、
虐待は父のみならず、ある意味自分も加担していた
(かばうことができなかったということも含めて)、
そういう自責の念が根底にあるような気がします。
どこまでが現実なのか。
そうでないのか。
アンナのみならず、ヘルゲも混乱している部分があり、
現実を見ているはずの彼も又、何か別のものを見ていたりするのです。
全く持って、ミステリアスな作品であります。


「チャイルドコール 呼声」
2011年/ノルウェー・ドイツ・スウェーデン/96分
監督・脚本:ポール・シュレットアウネ
出演:ノオミ・ラパス、クリストファー・ヨーネル、ベトレ・オーベンニル・バリング、
スティーグ・R・アンダム、マリア・ボック

ミステリアス度★★★★☆
満足度★★★☆☆

春、バーニーズで

2013年09月08日 | 西島秀俊
今とは違う、そうなるはずだった人生・・・?

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WOWOW制作のドラマです。
ちょっとオシャレな題名ですが、原作は吉田修一さんなので、油断はできないですね。
うん、まあ、事件性はないけれど、本作は「2つの異なる時間の流れ」をテーマにしているんだね。


平凡なサラリーマンの筒井(西島秀俊)は、
離婚歴があって前夫との間の子供もいる瞳(寺島しのぶ)と結婚します。
それは彼が望んだ結婚で、
彼女を初めて見た時の西島さんの表情というのがすごくステキだったんだよね。
「ああ、ずっと探してた女性が、こんなところにいた。」とでも言うような・・・
本作は、ごく日常に近く、仰々しいセリフなどあまり出てこないから、
表情がものを言うんで・・・、その点でもアピールの大きいシーンでした。
メガネをかけた西島秀俊、というのも結構珍しいね。
私はメガネ男性、きらいじゃないので、これもいいよね~!
筒井は瞳の実家で、彼女のお母さんと妹と同居することになるんだけど、
まあ、平凡だけど満ち足りていて平和。
そんな日常の断片が映しだされていきます。


そんなある春の日、筒井は新宿のバーニーズニューヨークで、
昔の知人と再会するんだね。
若いころ同棲していた男性!
その波乱を予感させる人生の断片から、
その時彼は逃げ出してしまったのだけれど・・・
もしかしたら自分はそのまま突き進んでいたら、
今とは全く違う人生があったのかもしれない
・・・・そんな思いが膨らみ始める。
筒井は修学旅行で行った日光の寺院に置いてきた腕時計を思い出すんだね。
あの時計はあのままずっと、今とは違う時間を刻み続けているのではないか・・・?


今とは違うどこかに、人生の楽園はあるのではないか・・・。
こんな気の抜けたような平凡な毎日ではない、
もっと別の何かを自分は本当は探していたのではないか。
こんな風に思うのは、なにも男性だけではないと思うなあ。
女だってね、毎日家事や育児に追われていたら、
本当の自分はもっと別のところにあるなんて思うよね。
筒井の思いは万人の共感を呼ぶってことかあ。
けど、本作は着地の仕方が無難だよね。
吉田修一だからこうはならないんじゃないか、と思ったけど。
でも納得できるな。これでいいと思う。
いや、こうじゃなきゃダメだよ。
瞳が提案した「狼少年ごっこ」というのがちょっと怖かったよねえ。
夫婦でウソを付き合うってやつだね。
「ウソ」と言ってるのに、ウソでないことを言ってお互いに傷ついてる。
お互い好きあっていて結婚したのに、知らないことばっり。
だけどさ、それはそれでいいんだよ。
どんなに頑張っても自分とは別の人間なんだから。
そんな中でも、自分がいるべき楽園が実はあるって
気づきを得る作品だから、なんかいいよね。
納得できる作品でした~。

春、バーニーズで [DVD]
吉田修一
Sony Music Direct


「春、バーニーズで」
2006年/日本/120分
監督:市川準
出演:西島秀俊、寺島しのぶ、栗山千明、田口トモロヲ、倍賞美津子

日常性★★★★★
西島秀俊の魅力度★★★★☆
満足度★★★★☆

「虹果て村の秘密」 有栖川有栖

2013年09月07日 | 本(ミステリ)
閉ざされた村で・・・少年少女活躍!!

虹果て村の秘密 (講談社ノベルス)
くまおり 純
講談社


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推理作家になるという夢を持つ12歳の秀介は、
同級生のと虹果て村で夏休みを過ごす。
「夜に虹が出たら人が死ぬ」という村の言い伝え通りに、
男性が密室状態の自宅で殺害される。
折しも土砂崩れのため犯人と共に村に閉じこめられた二人は
知恵を振り絞り謎に挑む!
本格ミステリの名手による珠玉の推理。


* * * * * * * * * *


有栖川有栖さんのジュニア向けミステリです。
だから残念ながら有栖川有栖も火村准教授も登場しないのですが、
子供が主役というのはやはり異例で、でも新鮮味があって良いものですね。


秀介はミステリが大好きで、将来の夢は推理作家。
一方優希は実際の事件の捜査にあたる刑事になりたいと思っているのです。
この二人の交流が微笑ましくて、
私などついニヤニヤしながら読んでしまいます。
ジュニア向けながら、やっぱり村は土砂崩れで遮断された閉鎖空間となってしまう。
被害者も犯人も探偵も閉じ込められた場で、
子どもたち二人の推理が光ります。


ダイイングメッセージ(実際には死んでいなかったのでしたっけ?)は、
やや不自然でしたが、
謎を解いたのは秀介の方ではなくて、優希の方。
そうでした。
この手のストーリーでは、推理作家はたいていワトソン役ですもんね。
これはしかたないよ、秀介くん。


この次はこの二人の20年後で、本格ミステリを是非お願い致します。
>有栖さま。


「虹果て村の秘密」有栖川有栖
満足度★★★☆☆

180°SOUTH

2013年09月06日 | 映画(わ行)
きわめてメッセージ性の高いドキュメンタリー



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まず登場するのは、有名なアウトドアブランド
「パタゴニア」、「ザ・ノース・フェイス」の創業者である
イボン・シュイナードとダグ・トンプキンス。
この二人は60年代の終わりに一緒に南米パタゴニアの旅をしています。
ほとんど人跡未踏のその地を、様々な困難に見まわれながら、
彼ら自身の冒険心と体力に任せて旅をした。
この旅こそ、彼らがアウトドアブランドを立ち上げたきっかけとなったわけです。


さて、現代のアメリカ青年ジェフ・ジョンソンが、
この二人の旅の記録を見て、
同じパタゴニアの旅の追体験をしようと思い立ちます。
ジェフはこの壮大な自然の旅で何を思うのか・・・、
すばらしいドキュメンタリー作品です。


ジェフは船でパタゴニアに向かう途中、
アクシデントで一旦イースター島に上陸します。
そこで、ひとつの文明が環境を破壊したために、
文明も滅びなければならなかったという島の歴史を知ります。
このことが本作では非常に重要なメッセージとなっているのでした。


たどりついたパタゴニアは、実際ほとんど手つかずで、
昔イボンとダグが旅したその時のままのように思えます。
けれどもその近辺では
工場の排水が海を汚し、川にはダムが作られようとしている。
自分達の便利さと引き換えに環境を破壊し尽くした結果どうなるのか・・・、
ジェフはイースター島の歴史とひき比べずにはいられません。
ところどころアニメも挟んで、
非常にメッセージ性の高い作品になっていると思います。
そのために、雄大なパタゴニアの風景もたっぷり入っています。


そしてまた、イボン・シュイナードは
この自然を守るため、パタゴニアの土地を買い集めているということを初めて知りました。
アメリカ人が土地を買いあさっているということで、
地元では非難の声もあるのだとか。
確かに、自然を守るというのは都会人の身勝手なのかもしれません。
本当は地元の人々は開発を望んでいるのかも。
でも地元でも開発を苦々しく思う人がいることも確かです。
もしかしたら、このパタゴニアが、
地球上で最後に残された自然の聖域となってしまうかもしれません。
そうならないことを祈りつつ・・・。


本当の「旅」とはこういうことなんだなあと痛感。
でも、ほとんど体力勝負。
ある程度の資金とあり余る時間が必要だ・・・。
う~む、まねできない・・・。
やはり私にできるのは「観光」止まり(T_T)
そして、本作はぜひ劇場の大画面で見るべきでした! 
失敗!!

ワンエイティ・サウス 180°SOUTH [DVD]
イヴォン・シュイナード,ダグ・トンプキンス,ジェフ・ジョンソン,マコヘ,ティミー・オニール
キングレコード


「180°SOUTH」
2009年/アメリカ/87分
監督・脚本・編集:クリス・マロイ
出演:イボン・シュイナード、ダグ・トンプキンス、ジェフ・ジョンソン、
キース・マロイ、ティミー・オニール

大自然度★★★★★
メッセージ性★★★★★
満足度★★★★★

ムーラン・ルージュ

2013年09月04日 | 映画(ま行)
浸りきってしまえば心地よい



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1899年パリのナイトクラブ、ムーラン・ルージュ。
作家を目指しパリにやってきたクリスチャン(ユアン・マクレガー)は、
この店の花形スターである高級娼婦サティーン(ニコール・キッドマン)と恋に落ちます。
しかし、ある公爵がクラブを劇場に改装する出資と引き換えに、
サティーンを自分のものにしようとする。
引き裂かれる愛を歌うミュージカル。


本作はブロードウェイのリメイクなどではなく、
この映画のために作られたものなんですね。
中の曲は誰もがよく知るポップス。
サウンド・オブ・ミュージックからビートルズまで・・・、
だから、とてもノリが良いです。
絢爛豪華な色彩が、
文化が爛熟し、さらには倦怠感を呼び起こす
当時のパリの雰囲気を醸し出しています。



サティーンはお金のためについに公爵のものになってしまうのか? 
嫉妬にかられるクリスチャンのシーンがなかなか良かったなあ・・・。
彼ら二人の恋路と劇中劇のラブストーリーが
二重写しとなっているところがいい。
どんなにじたばたしても道化役にしか過ぎない公爵はお気の毒ですが・・・。
(こちらだって、愛といえば愛なのでしょうに。)
ベタすぎるほどのラブストーリーですが、浸りきってしまえば実に心地よい。
本作の歌は吹き替えではないのですよね? 
俳優さんはセリフに気持ちを込めるのが仕事だから、歌も上手い人が多いですね。

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ニコール・キッドマン,ユアン・マクレガー,ジョン・レグイザモ
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


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ニコール・キッドマン,ユアン・マクレガー,ジョン・レグイザモ,リチャード・ロクスボロウ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「ムーラン・ルージュ」
2001年/アメリカ/128分
監督・脚本:バズ・ラーマン
出演:ユアン・マクレガー、ニコール・キッドマン、ジョン・レグイザモ、
ジム・ブロードベント、リチャード・ロスクバーグ

ロマンチック度★★★★★
陶酔度★★★★☆
満足度★★★☆☆

スター・トレック イントゥー・ダークネス

2013年09月03日 | 映画(さ行)
惜しみなく3D



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風邪で体調が悪く、2週映画館に行けないでいたので、
久しぶりの新作です。
見たいものは色々あったのですが、
まあ、病み上がりのこんな時には
単純でわかりやすくて、スカッとするものがよろしかろうと、本作を選びました。
しかも奮発してIMAXの3D。
いやあ、やっぱりいいですねえ。巨大画面。


本作は2009年の「スター・トレック」の続編となっていますが、
そちらを見ていなくても全然大丈夫です。
私などほとんど忘れ果てておりましたが、何の問題もありませんでした。


本作は、いきなりカーク(クリス・パイン)が
見知らぬ星で未開の異星人達に追いかけられているというスリリングなシーンから始まります。
辛くも危機を脱したカークは、
今度はスポック(ザッカリー・クイント)を救わなければならなくなる。
しかしそのためには重大な規則破りをしなければならない。
いわずとも想像がつくとおり、
カークはこういうときためらわず、規則を破ります。
そんなものは仲間の命とひきかえにできない、と。



カークのお陰で助かったスポックですが、
なんとそのことをしっかり上に報告してしまうのです。
それでカークはエンタープライズ号の艦長を降ろされてしまう。
すっかり腐ってしまうカーク。
・・・というのがオープニングストーリー。
このことがカークとスポックの関係を如実に表しています。
カークは直情的で直感に基づいて多少のことも無理してやってしまう。
スポックはいつも冷静沈着。論理的に規則に従う。
二人はまるで水と油のように相容れないのですが、
逆に言うと二人一組で非常にいい化学反応が現れるんですね。
互いにクサし合いながら、
でもどこかで自分に欠けているものを補ってくれていることをわかっている。
だからいいんですよねえ、このコンビ。
ヘンに仲が良いよりずっと面白い。



さて、前置きが長くなってしまいました。
ここからが本筋。
ロンドンの艦隊基地が爆破されるという事件があったのですが、
犯人は艦隊士官のジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)だということが
簡単に割れてしまいます。
カークは宇宙へ逃亡したジョン・ハリソンを捕えるよう特命を受け、任務につきます。
しかしそのためには、現在地球と関係の悪化している星の領内を通らなければならない。
ということで大変危険を伴います。
そして又、ジョン・ハリソンとは果たして何者なのか?



今人気上昇中の、ベネディクト・カンバーバッチ。
彼が当面の敵となるわけですが、この人物像がなかなか深い。
彼は圧倒的な身体能力を身につけた超人類ともいえる人物だったのですが、
非情に徹し、成し遂げねばならない事があった。
そんなところにも説得力があり、
壮絶な魅力を放っているのです。
単純な善と悪という図式にならないところがいいし
また、カークの自分の身を呈してもクルーたちを救おうとする自己犠牲の精神、
これもやはりいい。
かっこよすぎなくらいですけど。



そして、3Dのアクションはスリル満載。
「いやあ~、空の上で決闘するのなんかよしてよ~」と、
高所恐怖症気味の私はつぶやいてしまう。
宇宙船であるエンタープライズが一度重力の制御を失うとどうなるのか。
あのタイタニックのシーンを思い出しますが、
高い天井、長い廊下、
そういうものが一瞬にして命を奪う恐ろしい場所と化してしまう。
う~ん、映像が3Dというだけではなくて、
ちゃんと舞台装置自体が3D仕様となっていた気がします。
人の動きも又3Dなんですよ・・・。
ほんと、よく出来た作品でした。
たっぷり楽しみました。

「スター・トレック イントゥー・ダークネス」
2013年/アメリカ/132分
監督:J.J.エイブラムス
クリス・パイン、ベネディクト・カンバーバッチ、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、
ジョン・チョウ

男の友情度★★★★☆
3D度★★★★★
満足度★★★★☆

「ことばはいらない~Maru in Michigan~」 ジョンソン祥子

2013年09月02日 | 本(その他)
毎日眺めたい

ことばはいらない ~Maru in Michigan~
ジョンソン 祥子
新潮社


* * * * * * * * * *

僕らに言葉は必要ない――。
イヌとヒトとの幸福な毎日。
兄弟のように育った、柴犬のマルちゃんと2歳の一茶くん。
言葉はなくても、目と目を見るだけで、ふれあうだけで、気持ちは通じる。
じゃれあい、ケンカし、一緒に眠る……。
アメリカの美しい大自然の中、すくすくと育つ二人を、
あたたかな写真におさめた大人気ブログが写真集に!!
ページをめくるたび、幸せが降ってくる。

* * * * * * * * * *

写真集です。
ここで写真集を紹介するのは珍しいのですが、
犬や猫の写真集は数々あれど、
人物と一緒に写っているものは少ないですよね。
あどけない幼児と柴犬マルのツーショット、つい口元が緩んでしまいます。
癒されます。
本がやや小ぶりで気軽に手に取りやすいのもいいのです。
枕元の本棚において、ひょいと取り出していつも眺めていたい一冊。


著者ジョンソン祥子さんはアメリカ人男性との結婚を機に、渡米。
しかし、言葉の壁で、周囲の人になかなか自分の伝えたい思いが伝わらない。
そんな時心の慰めに飼い始めた犬が柴犬のマルで、
そのマルとの生活を綴った写真ブログ「Maru in Michigan」を始めたそうです。
そうするうちに、一茶くんが生まれ、
いつも一緒のマルと一茶くん、
このツーショットのブログへと変わっていったのです
私はこの本とブログのことを実は新聞紙上で知ったのですが、
早速ブログを見て、すっかりこの一人と一匹の大ファンになってしまいました。
わざわざ本を買わなくても、
ブログで日替わりの「お茶丸」(←マルと一茶を一緒にした呼び方!)が楽しめます。


なんといってもマルの表情がいいです。
柴犬ってなんて素朴で優しい顔をしているのでしょう。
いつも一茶くんを見守り、
時には迷惑そうでもあり、
時には嬉しそうでもある。
あるハロウィンのころの写真では、
顔をくり抜いたかぼちゃが並ぶ前で、
なんだか泣きそうな一茶くんとちょっぴりすねたようなマル。
けんかしたのかな? 
いつもニコニコなのではなくて、
こうした日常を切り取った一コマがあるのも、味があります。
一茶くんが少しずつ成長していくさまも見て取れて、今後も毎日ブログが楽しみです。


「ことばはいらない~Maru in Michigan~」ジョンソン祥子 新潮社
満足度★★★★★