菜の花座11月公演の台本書き、なんとかスタートしたけど、思惑が次々裏切られて、ただ今漂流中!どこにたどり着くことやら。
集中したいところなんだよなぁ、せっかく人物も立ち上がり勝手に動き始めてるから。でも、お約束のコント台本、締め切りは盆明け、よっしゃ、2日で書くぞ!
町の健康福祉課に頼まれて、もう7年くらいになるかなぁ、認知症サポート講座の一部、コントで知ろう認知症を演じ続けてる。劇団のシニアメンバーが中心だけど、よくやるよ(褒めてる)、町内の小中高、すべてに出前公演してる。
これまで4本くらい新作コントを提供して来たんだが、今年は新しく書下ろしをお願い、って、望む方は簡単よね。書く方の身にもなってくれよ、なぁんて、ケチな不平は言わない、って言ってるけど。
これまでの4本書くたびに何かしら参考本読んで勉強してきてるんで、認知症のおおよそは掴んでる。が、取りあえず『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』川端智著をさらさらと読み返して、あとはアイディア勝負。
子どもたちが10数分飽きずに見て、関心持ってもらえるような笑いと仕掛けを考える。これ思い付けば、あとは気楽なもんさ。
今回閃いたアイディアは、少年探偵コナンに登場願うってやつ。盗作ご容赦!名前の順入れ替えるんら勘弁ね、認知症お助け探偵コンナが登場、認知症の人たちの不可解な行動を謎解きして、理解を深めてもらおうって仕組みにした。
幾つかの代表的症状をコントで紹介、そこに探偵コンナが颯爽と現れて子どもたちに説明をする。これなら、担当者の味気ない説明より子どもたちの興味を引くだろ。探偵の気取ったセリフとか衣装とか、動きとかでも、関心を惹きつけられるっことさ。
短いショートコント4本構成だが、本日は暑中大サービスでそのうちの1本を公開してしまおう。
第1話「ドロボウだっ!」
居間、茶箪笥とテーブルと椅子2脚。
息子が新聞を読んでいる。
バアチャン、テーブルの上とか椅子の下とか一生懸命探し物をしている。
婆➀ ないっ。うーん、ここにもないっ。どこにやった?
茶箪笥の引き出しも一つ一つ開け、中の茶碗や皿も取り出して探す。
婆➀ あんた知らんか?
息子 なに?
婆➀ だから、その、おらの大切な、
息子 なんだ、メロンパンか?
婆➀ 違う。
息子 アンパンか?
婆➀ 違う。
息子 ドーナツか?
婆➀ 違う。
息子 まんじゅうか?
婆➀ 違う、なして甘いもんばっか。
息子 ほなら、煎餅か?
婆➀ おらの探し物は丸いものって決まってだんか!
息子 ほな、なんだ?
婆➀ お前が一番欲しがるもんだべ。
息子 金だっ!
婆➀ やっぱりだ。ズバリ的中。
息子 何がやっぱりなんだや?
婆➀ お前が隠したんだ。
と、息子の身体検査を始める。
息子 止めろ、止めろ、隠してなんぞしてねぇ。
婆➀ いんや、お前が隠したんだ、うんにゃ、盗んだんだ!
息子 俺を泥棒扱いすんなか!
婆➀ どこだ、盗んでどこさ隠した?
息子 盗んでねぇ、勘違いだ。
婆➀、息子の襟元を締めあげて、激しく迫る。
と、コナンの服装をしたお助け探偵、華々しく登場。
コンナ 待った、待った、待ったぁぁぁ!認知症のもめごと、お悩みなんでもお任せ即座に解決。助けて欲しけりゃ、いつでもどこでも誰にでも、「まっこっち来んな!」で登場、お助け探偵コンナただ今参上!
コンナ どうした婆っちゃ。
婆➀ この悪たれ息子がおらの金盗んだんだ。
息子 盗んでなんかねえって。
婆➀ いんや、盗んだんだ。どこ探してもねえもの。
息子 最初からねえんだろ、金なんて。
婆➀ なんだとぉ、おらを耄碌ババア扱いすんなか!
息子 だって、耄碌してっぺよ。
と、もみ合うふたりの間に割って入り、
コンナ よしっ、推理してみよう!婆っちゃ、その金、最後に見たのはどこだ?
婆➀ この茶箪笥の引き出しの中に入れてあったこで。
コンナ ところが、今見て見たらない、そういうことだね?
婆➀ ほだ、このバカ息子が、
コンナ 見つけるとまずいと思ったので、別の場所に移した、が、その場所を忘れてしまった。
婆➀ そんなこと、
コンナ コンナことよくあるんだ。息子さんが探しそうにない所、そこなら安全だ、それは普段誰も覗かないところ。つまり、
と、コンナ、茶箪笥の裏から封筒に入った財布を見つけ出す。
コンナ ここに隠して忘れてたってことだ、なっ、婆っちゃ。
婆➀、財布の中身を確認して、
婆➀ まっ、そういうことかもな。おい、バカ息子、よく注意しろ、年寄りは忘れやすいんだ。
息子 いい加減にしろ!
コンナ まぁまぁ、年寄りの物忘れは仕事みたいなもの、優しく見守ってあげようぜ。「また、コンナ!」って呼んでくれ。
と、颯爽と去るコンナ、財布を大事そうに隠す婆、ちょっかいだす息子。
了
と、まぁ、こんな感じ。盆明け早々の稽古に届けて、あとは出演者で知恵出し合って仕上げてもらう。
菜の花座本番公演の合い間を縫うように依頼日が入っていて、体も頭もやり繰り大変だが、シニアたち、自分たちのも一つのライフワークとして頑張ってくれてる。