ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

生徒は疲れているか?

2012-09-27 23:12:17 | 教育
 サントリー地域文化賞の授賞式から帰ってきたら、午後から職員会議。意見交換になって、「活動している生徒は疲れているのでは」とか「受験勉強する暇がない」とかと言った意見が出された。勝手に言ってれば、との思いから別段反論もせずにいたのだが、そのうちに、これじゃやっぱりダメだ!置農じり貧だ、こんな考えじゃって思いがこみ上げてきて、反論することにした。

 論点その①置農で活躍する生徒たち(3年生)は大変なのか?
 
 たしかにね、演劇部は辛いよ。3年の今となっても土日はすべて公演か部活動、平日は7時までの活動が12月末まで続くわけだから。そして、その間、就職の生徒も進学の生徒も自分でこつこつ試験に向けて準備をして行かなくてはならない。大変だ。でも、彼らは休まない。弱音も吐きはしない。何故って、県大会突破東北大会出場を目指して燃えているから。12月の町田公演までが自分たちの活動だと納得しているから。これまでの3年生もみんなそうしてきたし、その苦労を乗り越えて進路実現を成し遂げてきた。人間、活動に意義を感じられれば、少しばかりのことで音を上げたりしないんだ。ちなみに、演劇部はホッケー部と並び四大進学率が最も高い部活動だ。そして、ここ5年間、進路実現に失敗した部員はいない。

 では、演劇部以外の生徒はどうか?土日すべてがプロジェクトなんてことはないし、平日の放課後はすべてフリータイムだ。どこがそんなに忙しいのか?受験勉強だって、いっくらだってできる。その証拠に、昨日地域文化賞の授賞式に参加した生徒の一人(四大進学希望)は、ホテルに帰ってから小論文を一つものした。要は、当人のやる気しだい、それを引き出す指導しだいってことだ。

 論点その②生徒が忙しくて可哀相か?

 演劇部の生徒は常に3つの舞台を掛け持ちしている。子どもミュージカルと演歌ショーと大会または定期公演だ。一ヶ月近く間が空いても、わずか2回の稽古ですべて思い出してきっちり上演を成し遂げる。これ、どう見る?僕は、本当に凄いことだと思うんだ。これが高校生の能力だって思うんだ。我々大人にはとうてい考え及ばないことができてしまう、それが若さなんだと思う。この無限の力を見くびっちゃいけない。だれが可哀相なんだよ!可哀相だからって、手を抜いてしまう方がよっぽど可哀相なんじゃないか。置農生は、またまだやれる!まだまだ締め上げられる。苦しめて追い込んでさらに大きく成長できる。もちろん、置農生だけの話しじゃない。高校生はこんなもんだ!っていう大人の侮りが、子どもたちの大きな可能性を見失わせてしまうんだ。

 論点その③文章力や計算力だけが学力か?資格だけがキャリアか?

 忙しいから勉強が疎かになる。それは確かにそうだ。勉強しないでもいいなんて論拠は何もない。でも、文が書ける、数式が解けるってことだけが実力ってものじゃない。今回、地域文化賞の懇親会で演劇部部長は以前の受賞者の男性を捕まえて、20分あまりも滔々と演劇部の活動を語り続けていた。その自信!その能力!そして、語るもののあることの素晴らしさ!これは力ではないのか。就職先や進学先では、演劇部の活動が大きなポイントを稼ぐ。これはキャリアではないのか?
 学びというものを小さく限定してはいけない。曖昧さを恐れず言うなら、人間力、これを鍛え上げる事こそが教育ではないのか。



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最高の宣伝活動?『アーダコーダと魔女ナンダ』中学校公演

2012-08-18 10:23:46 | 教育
 中学生に子どもミュージカル?これはなかなか手強いぞ!

 中学生ったら、斜に構える年頃だし、自分の持ってる価値にやけにこだわる年頃だし、そのくせ高校の格差なんてことには結構敏感だったり、もちろん、食育なんてことにはほとんど興味ないだろうし、・・・・・・

 そんな難敵相手に『アーダコーダと魔女ナンダ』を上演するって言うんだから。あの被りもの見て、馬鹿にすんじゃないか?栄養の基本を問うクェスチョンタイムなんか、ふざけるなって怒るんじゃないか?不安はいっぱい!心配もしこたま!

 でも、やっぱり受けた。頼まれて断るってこと、スケジュール調整不能以外になかったことだし、逆に中学校だからこそ、やってやろうじゃないの!って気負いもあった。そりゃそうだ。公演が上手くいけば、これ以上の宣伝はないからね。

 農業高校の生徒集め苦戦が続いている。置農くらいに様々な場面で活躍してみても、生徒の様子が格段に良くなってきてはいても、地域の評価って奴はかたくななんだなぁ、これが。中学の先生や中学生の学校選びの基準は何か?それは偏差値、点数、ただこれだけ。そこでどんな教育が行われているか、そこでどう生徒が伸びるか、なんて関係ない。輪切りの学校選択は今も根強く持続している。

 だからこっちもあの手この手で生徒獲得を目指しているわけだが、これがなかなか思うように行っていない。そんな中で、直接中学校に乗り込んで全校生徒(今回は1,2年生+3年の一部)相手に、これが置農だ!って見せられるわけだから、これはなんとしたって利用しない手はないじゃないか。

 実際、2年前に演劇部の中学校公演が好結果をもたらしたこともあるのでなおさらだ。2年前はM中学校。学園祭のプレイベントとして全校生徒の前で大会作品『Catch & Row』を上演した。これが殊の外の成功で、数百人の中学生が食い入るように見てくれたし、その後片づけやミィーティングの様子など見た生徒や先生方に、これが置農か!と従来のイメージを覆す印象を与えることができた。なに?思いこみだろう?って。違う違う。実際、その後M中からの新入生は大きく増えたし、中学の校長先生からも、あの公演で生徒の置農を見る目が変わりました、と言ってもらえたんだ。

 ってことだから、今回も置農の現実をしっかり見て貰いたい。そんな強い気持ちで引き受けた。ただ、問題は食育子どもミュージカルだってことだよ。これ、小学生対象に作ってるからね、主役は森の魔女たちだし、森のムシケラたちや乙姫様やケーキやドーナッツ、串団子、ついには腸内細菌まで登場するはちゃめちゃぶりだから、このナンセンスを頭が固まりかけている中学生に通じるか?すぐに下向いたり、居眠りしたりする奴ら出てくるんじゃないか?最初から馬鹿にする奴だってきっといるだろうしな。

 でも、思いがけない観客の対応だった。まず、ほんどの顔がしっかり舞台に向き合っていた。それと子ども相手のクエスチョンタイムにもおすおずながらも手を挙げて付き合ってくれた。腸内細菌の応援歌では一緒に立ち上がって拳を上げてくれた子までいた。いやぁ、有り難かった。生徒たちの躾の良さ、それと子どもミュージカルが通用したってことに大いに満足した。

 その背景には、文化祭で学年ごとの演劇に相当力を入れているってことがあったようだ。数ヶ月後には自分たちも舞台を作る、その参考にしようって気持ちが多くの生徒にあったんだろう。これ、素晴らしいことだ。やっぱり演劇が身近なものになるには、自ら演じる場があるってことが一番なんだよな。

 今回、置農演劇部を熱心に呼んでくださったS先生は、以前いた中学校の卒業生が置農演劇部で大きく成長した姿を見てくれていたそうだ。そして、進路指導では常々置農に入って演劇やりなさい!って言っていてくださったということだった。そう、こういう人たちをこういう見方をたくさん作るってことが大切なんだ。で、今回、少しはそんな宣伝ができたんじゃないかと思う。来年度、この中学校からの受験生増えるといいんだけど。



 

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お年寄りは大切に!食べものも大切に!!

2012-06-17 21:45:14 | 教育
 さすが二回目ともなると、ゆとりだ。7時から始めた準備だったけど、9時にはすべて完了して、余裕のお茶のみまでできた。
 味の方も前回のアドバイスを生かして、やや濃いめの味に整えた。そう、ここいらのお年寄りは味濃いめなんだよな。減塩なんてお呼びじゃない。でも、みんな長生きなんだから、まっ、いいってことか。

 前回の反省は味付けだけじゃない。料理の配置も変更した。バイキングなんだからと、中央のテーブルに料理を並べて自由に取ってもらう形から、各テーブルに全部の料理の皿を並べるようにした。こうすると料理を取りに立って歩かなくてもよい。お年寄りにとって、立って歩くというのがかなりの負担なんだってことを前回に学んだからなんだ。座ったまま食べたい料理に手が伸ばせる、この形式は成功だった。料理の減り具合がずっと大きくなった。テーブルに寄ってはほとんど平らげてくれた所なんかもあって、食べる方も、作った方も満足の会食だった。

 お茶の接待も生徒たちがするように仕組みを作った。これも好結果となって、お年寄りと高校生との会話はおおいにはずんだ。まっ、慣れたからってこともあるだろうけど、多くの生徒がお年寄りとおしゃべりできて喜んでいた。もちろん、お年寄りにとっても心浮き立つ時間だったと思う。

 そのせいか、終了時には、一人の男性が立って謝辞を述べてくれるというハプニングもあった。満足してくれたんだよなぁ、きっと。嬉しい瞬間だった。申し込みをしていないけどいいか?なんて3人グループも来てくれたり、前回も来たんだけど、楽しくてまた来た、なんてお年寄りもいたりして、この取り組み、確実にお年寄りの間で評判になりつつあるのを感じた。残るは、7月16日(月)海の日の一回だけ。今度は会場も農村環境改善センターホールと広いところなので、どどーんと5~60人来てくれるいいなぁ。

 前日も5時間の下ごしらえ、本番の今日も朝6時半から片づけの終わる16時までフル回転で頑張ってくれた生徒たち、これも着実に成長しつつあるなぁ。嫌な顔や疲れた表情を見せなくなった。それと何より素晴らしいのは、残り物をみんな持ち帰ってくれたことだ。小さな持ち帰りようブラパックにぎゅうぎゅうに詰めて全部の料理を持ち帰ってくれた。それでも残ったものは、定期公演前で頑張っていた演劇部がすべて処分してくれた。いいことだな。気持ちよいことだ。

 お年寄りは大切に!食べものも大切に!!







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今年も東京公演

2012-06-15 00:14:02 | 教育
 2年ぶりの東京夏公演だ。
 期日は7月30日~31日。今回は墨田区と足立区、2年前江東区豊洲北小での公演を仕切っていただいたワーカーズコープ東京の田中さんにお世話いただいた。予算の方は、県のNPO支援資金を、えきまちネットこまつの江本さんが頑張って取ってくれた。さらに高校教育課から特色ある学校作りの支援もいただけて、この公演が実現可能となった。本当に有り難いことだ。多くの人に支えられる置農演劇部、素晴らしいことだと思う。
 
 7月30日は、墨田区生き生きプラザで地域のお年寄りに演歌ショーを見ていただく。一昨年の東京公演でも寄せていただいたところだ。前回からさらに進歩した所をお見せしたい。

 31日は食育ミュージカルを2回公演だ。午前は足立区竹の塚地域学習センター、午後はまた墨田に戻って立花児童会館で公演する。夏場の一泊二日、3回公演はたしかに厳しい。でも、そんなことでがおる置農演劇部では毛頭無い。日帰り東京公演だって何度も経験しているんだもの、一泊できるだけ幸せってことだ。

 公演場所は、今や最高の人気スポットスカイツリーの間近、宿泊場所が取れず苦労したが、こちらは、置農のお米を扱ってくれている墨田区亀田商店さんが必死で探してくださり、江東区木場のホテルを紹介してくださった。これもまた、有り難いことだった。

 7,8月は土日のほとんどは公演、それも、1日2回公演が何回も入っている。こんなめちゃくちゃな夏休み、経験できる高校生って、絶対幸せだと思う。
 

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装置、今年の新機軸!定期公演『朧の森に棲む鬼』

2012-06-10 21:27:42 | 教育
 2週間後に迫った定期公演、演出していないとどうも、も一つ切迫感が湧かなかったけど、さすがに焦ってきた。
 顧問Nにすべてお任せ、はさすがに厳しかったようで、今日は照明プランの相談にのり、その後は装置作りに助っ人した。
 
 これまでもそうだが、僕が舞台を作る時は、必ず何か新しいことを手がけてきた。衣装だったり、演出だったり、道具だったり、で、今回は装置だ。

 高校演劇で装置を作るって言ったら、素材は角材と薄ベニ、それとコンパネってところだ。そんな常識を打ち破って今回は3寸角の柱材と垂木を使うことにした。1間高さでほぼ2畳分の演技エリアを作りたかったからだ。この高さで何人もの人が乗って騒ぐとなると頑丈な作りが要求される。材質だけではない。それにふさわしい工法も取り入れなくてはならない。

 木組みだ。木材に刻みを入れて組み合わせる。こんな具合だ。


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 隙間すきすきだけど、まっ、初めての経験としては、まずまずのできかな。寸法は高さ六尺、間口六尺、奥行き五尺だ。これだけの広さがあれば、上でチャンバラも可能だろう。周囲を作って筋交いを入れたら、頑丈になった。




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 上にコンパネを貼れ完成。木組みまで使った装置作りってそんじょそこらの高校演劇部にはないんじゃないだろうか。そして、そこに上がるためにはこれだ。





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 わかるかな、末広がりになってるとこ。階段はこれまでかなり作ってきたけど、末広がりってのは初めてだ。生徒たち、大変だったと思うが、本当によくやってくれた。この階段を駆け上がり、駆け下りるなどして、高さと勢いのある舞台が生まれることだろう。
その他に、高さ11尺の三角灯籠を作っている。ね、なかなかの力作だろ?

 ただ、問題はこれだけの力作を定期公演後、どうするかってことだ。できれば、フレンドリープラザに置いてくれるといいのだけれど。1間高さの平台って結構使い道あると思うんだけど。でもかさばるからなぁるもったいないなぁ。




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