アマチュア演劇やってて、何が辛いかって、観客の少ないことくらいやりきれないもんはない。とりわけ地方では、観客不足の悩みは深刻だ。
菜の花座だって、そろそろ旗揚げ十年に迫ろうというのに、未だに一公演200人の壁を超えられずにいるんだから。こりゃ、辛いよ。「面白くねぇんだよ、お前んとこ」、って言われちまえば、身も蓋もない。面目ねぇって頭下げるしかないんだが、見てくれた人たちは、結構楽しんでくれているって現実もある。まっ、お世辞半分ってとこはあんだろうがね。
でも、まじに「えっ、この芝居この公演一回で終わり?もったいないね!」なんて、涙がこぼれるようなこと言ってくれる人も毎回いるわけだし、2時間を超す長い芝居にも、時計を気にする人はほとんどいないって事実もしっかりチェック済みだから、もちっと幅広い人たちに見てもらえれば、きっと、ひとときの娯楽として、定着するに違いないって思っている。やっぱり、田舎じゃ、演劇見るって習慣がほとんどないってことが一番大きなネックだね。演劇って奴は、見るのも経験がものを言うから。
いやいや、見てる人だっていることはいるんだ。井上さんのこまつ座はいつでも席はほぼ埋まる。プロだからか?違うね。だって、山崎清之助さんの子どものためのシェークスピアカンパニー、素晴らしい舞台なのにまるで入らなかったから。その違いは何なのか?要するに安心ってことじゃないだろうか。確実に楽しめるもの、間違いなく感動できるものなら来る。でも、知らないもの、初めてのものは、ちょっと、ってことなんだろう。まして、アマチュアじゃねぇ、って、激しく眉ひそめる様子が目に浮かぶ。で、こういった食わず嫌いの人たちと、端から演劇と無関係な大多数の庶民に迎撃されて、地方劇団はしょぼしょぼと消えていくってことなんだ。まさに、地方文化の有り様、ここに極まれりってところだ。
高校演劇部となると、もっといけない。いやいや、都市部の名門演劇部は別世界。農業高校のポットでの演劇部となると、同級生だって見に来ないからね。部員達の親類縁者と先輩達、そして、先生達がぽつらぽつら。700人入るホールに70人ってことだって経験した。寂しいよ、これって!だから、いろんなことやってきた。昼・夜2回公演とか校内公演とか。でも、どうしても仲間内から抜けきれない。
そこで、こう考えた、高校過ぎたら人間すれっからし、新鮮な気持ちで芝居を見ることなんてできゃしない。いいや、中学生でも生意気だ。テレビの毒に心底染まっちまってる。見てもらうんなら、生身の舞台に素朴に見入り、素直な気持ちで心を開いてくれる、子ども達しかないだろう。よし、子どものための舞台を創ろう。ってことで始まったのが置農子どもミュージカルだ。
さて、舞台は創った。でも、どこでやる?どこに行ったら子どもはいるんだ?自分たちでホール借りて公演したって来るはずない、これはわかってる。子どもは車運転しないからね。チラシ配ったところで、それ見てやってくるほど今の子どもは暇じゃない。なんとか、子ども達を集められるところと話しを通す以外にない。学校か?幼稚園か?学童保育か?公民館か?
企画書を作り、手当たり次第に発送した。電話はもちろん、めぼしい所には、乗り込んで行って頭を下げまくった。気付いてみれば、これって文字通り営業なんだよな。県立高校の演劇部顧問が自分の部の作品売り込みに歩いているってわけだ。なんか、笑ってしまう。
思惑は半分当たり、半分外れ。外れは小学校。これはだめだっだ。結構こまめに町内の学校を回ったけど、4年間でこれまでのところ契約(?)はゼロ。公民館は毎年1~3カ所は声をかけてくれるので、こっちは○。でも、一番喜んでもらえたのは、高畠町の浜田ひろすけ記念館と米沢市の児童会館だった。いずれも、5月の連休中の子ども祭りの行事に迎えてくれた。
そして、今年は、ついに、企画書を送る前から、公演の予約をもらうことができたのでした、じゃじゃーん!高畠も米沢も、じゃじゃじゃじゃーん!!。これって、すごいよね。台本できる前から、呼んでくれたんだから。5月3日は高畠ひろすけ記念館、5月5日は米沢児童会館で公演することになる。この調子だと、これまでの一作品5回公演の記録を破ることになるんじゃないだろうか。さらにさらに、これまで鬼門の小学校での公演も決まるかもしれない。よお~し、台本書きがんばるぞ~って、こんなブログ書いてねえで、早く台本にかかれよ!