全24話、ついに見通したぜぇ。
24話!ってことはほぼ1カ月これ見てたってことだ。嫌気もささず、飽きもせず、よくぞ!だな。フツー、途中、マンネリでうんざりが多いんだよね、ネトフリドラマって。なんとか長く続けたいって魂胆見え見えでシリーズ回数重ねたりしてるから、雑になったりして鼻についてきたりするもんだけど、この韓国ドラマは違った。脇目もふらず、浮気もせず、夜ともなれば、1夜1話をひたすら見続けた。それだけこのドラマの筋立てが巧妙だったってことだ。
一人の女を慕う男三人、そこに食い込みたい女一人と半分?そうちょっと扱い小さいから半分。主だった登場人物すべてが鬱屈する過去を抱えている。それも、身分や階級に絡んだ辛く忘れがたい傷跡なんだ。そこが一つのキモだな。
もちろん、韓ドラお得意の恋愛ものなんだが、時代は閔妃暗殺事件後だから、1900年頃の朝鮮、日本の朝鮮支配が露骨になって行く時期だ。韓国の主権確立、さらには独立達成という愛国の物語てのが二つ目のキモだ。
日本人から見ると、ちょっとなぁ、って部分も大きい。まっ、日本人が悪だったことは歴史的事実だが、あまりにちゃちな悪党、チンピラに描かれてることとか、二本差しの不逞浪人団が闊歩してたりとか、韓国人俳優の日本語セリフとか、いくら愛国ドラマでももうちょい、史実に即してくれよ、とは感じる。
落ち着いて目を凝らせば、それちょっとあり得ないんじゃね、って展開も随所にある。まっ、突っ込みたくなりゃ毎回何度でもつっ込めるご都合主義なんだ。
が、それを上回る痺れるシーン、泣けるシーンがどっどと押し寄せて来る。印象的な背景、美しい映像、切ない関係・・・だから、許す!もう、いい加減でも、リアルでなくても、勝手きままでも、いい、許す!許す!!
引き込まれるシーンの底流は何かって言ったら、それは忍ぶ恋なんだ。身分の差、境遇の隔たり、国籍の壁、越すに越されぬ障壁となって、男女の愛を引き留める。これがもう切なくてグッとくる。ここが三つ目。
そして、まだまだたくさんあるが、あえて最後の決め手を上げるなら、5人の男女、一人一人がもう叫びたくなるほどカッコいい!
お嬢さんスナイパーの愛国の情と行動、祖国韓国を追われた米軍将校の純愛、無頼の徒ク・ドンメの屈折愛、大金持ちドラ息子のおおらかな愛、売国奴を父を憎むホテル支配人。人物設定だけじゃないぜ、衣装なんかももう目が眩むほど魅力的だ、特に二人の女。ホテル女支配人なんて、各話で3着はドレス着替えてくれてた。もう、ファッションショーの楽しみだったな。これほど一人一人に惹きつけられたことって、ペーパーハウスくらいだな。
しかも、初めはいがみ合っていた5人が、次第に距離を縮め、信頼し合うよになって行く展開も、いいぜ、いいぜ、ペーパーハウスとおんなじだぜ。
ただなぁ、この信頼の軸になるのが、祖国愛だってこと、これは素直に共感できないところなんだ。この時代設定なら文句なしに見過ごせる。だが、今の時代、この戦争の脅威が俄然差し迫っている状況にあっては、いやいや、愛国心!いいですね、とは言えないんだ。
だってそうだろう、ロシアのウクライナ侵攻だって、プーチンの無謀な試みにゃちがいないが、それを支えてるのは、ロシア国民の祖国愛なんだからさ。侵略とか祖国とかが取りざたされる現在、そこからどうしたら抜け出せるかが、歴史的、世界的課題だと思うんだぜ。