九響 午後のオーケストラ「明治維新150年 ~同時代を生きた作曲家の『第1番』 」と面白いタイトルの演奏会でした。ピアノは小山実稚恵氏、指揮は小泉和裕氏です。
今まで何度も機会を逃していた小山実稚恵氏のピアノをやっと聴くことが出来ました。チャイコフスキー国際コンクールとショパン国際コンクールの両方での入賞は日本人で唯一人という事です。
演目は、チャイコフスキー《ピアノ協奏曲1番》。たぶんチャイコフスキーコンクールでも弾かれた曲だと思います。
最初はホルンが力強く下降してくるあのメロディ!ついで各楽器が参加し、ピアノも3拍子のリズムに合わせて華麗な和音で参加します。60人ほどの楽団員が作り出す音は荘厳です。ピアノの複雑な指の動きと音の迫力、相当なエネルギーがステージの上ではじけます。
小山氏のステージでの挨拶の仕方、次の楽章に移る間の所作、拍手へのおじきの仕方におおらかで優しくて、美しい笑顔にも人間性が表れてとても好感が持てました。CDでは分からない、ステージでしか味わえない温かさと楽しさ、やはりコンサートはいいです!
以前、小山さんの記事で、何に対しても自分の選択で始めること、心底好きになって一生好きで付き合えること、技巧面だけで音楽を捉えないこと・・・というコメントを見たことがあります。本当に好きになるとは心躍ること、わくわくする気持ちを掴むという事のようです。
2部は、ブラームス《交響曲第1番》。初めは重たい曲ですが、明るい和音に、歓喜の旋律に、と変化していきます。コントラバスが7つも。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲が頭に色濃くあるので、これには少し戸惑いました。小泉氏は2曲を指揮するのにエネルギーを使い果たしたという、それほどの熱演でした。
昼間のコンサートは時間的にも人気があるようで、2階席まで満席!「小山さんのピアノよかったー!」という若いカップルの感動の声も聞こえてきました。梅雨の合間の素敵なひとときでした。