ポンペイ展、エジプト展は過去にも何度となく開催されました。そのつど、日本がまだ存在していなかったころの高度な文明に畏敬の念をもちロマンに浸り感動したものです。
福岡市博物館で今開催の「ポンペイ展」は一味違います。副題が「古代ローマ文明の奇跡」です。
「これほどの悲劇が、これほど興味深く見られるところはない」というゲーテの言葉がありますが、2000年前のポンペイの日常生活と古代ローマ帝国の高度な文明が、時を超えて目の当たりにできるのです。
2年前にポンペイを訪れていましたが、遺跡見学だけだったので、今度の展示品は興味をそそるものばかりでした。日本初の展示物も意表を突くもので、見るのに3時間半もかかりました。
驚きだったのは、富裕層の家に備え付けられた給湯器付き浴槽。この装置が日本で一般化したのはそう遠い昔ではありません。2000年前、ローマの大浴場ばかりでなく、個人住宅にも快適さを求めた生活があったのです。
大理石の浴槽、青銅製の筒状釜や蛇口、鉛製の水槽と給湯槽、鉛管。これが作られていたのが、日本では弥生後期なのです。(写真はポンペイ展のHPよりお借りしました)
一瞬のうちに5mの火山灰に埋もれたポンペイ。古代ローマ帝国の栄華を、2000年の時を経て今、目の前で見られるのは皮肉にもこの過酷な火砕流のためなのです。湿気を吸収する性質をもつ火山灰が乾燥材になり壁画や家具調度品の劣化を食い止めたということです。
高価な銀食器4枚ずつのセットもみごとです。現代で使用しても全く遜色のない高度な技術とフォルムの美しさ。その美的感覚には目を見はるものがあります。繊細な細工とデザインの宝飾品も、今のイタリアファッションにつながるセンスのよさがしのばれます。
映画「スパルタカス」の悲劇はともかく、剣闘士が身に着けていた兜、脛当、短剣も装飾的です。剣闘士の手のひらサイズのフィギュアには、今も昔も変りのない市民の人気と熱狂ぶりがうかがえました。
この高度な文明は奴隷により支えられていました。ポンペイ市民にとって、労働は「家の中で行う仕事」で、農作業や土木作業の重労働は奴隷が行うもので、市民はそれを管理すればよかったのです。(この辺りは塩野七生さんの著作にはあまり出てきません)
ギリシャ彫刻を範とした古代ローマの彫像も見事です。この後、3月には横浜美術館に移ります。ポンペイに行かなくても見ることができる2000年前の世界。足を運ぶ価値は充分にあると思います。
5mもの灰ですか。ポンペイがそんな危険な場所との言い伝えは無かったということですね。
見学に3時間半ですかじーじも見学に行かせてもらいます。
ヨーロッパ古代史にふれると、世界は広いといつも思うじーじですが今回もきっとそうなんでしょうね。
楽しみなことが一つ増えました。
もうドキドキします。
覗き見的…というよりは、私たちと似た生活意識と生活感覚と
生活空間があったと実感できる親近感が嬉しいのです。
≫博多のじーじさん
ヨーロッパ古代史、その時の先端技術は弥生の日本では
さながらにSF的ですね。
外国の歴史というよりは、地球の歴史のひとつだと思います。
だから楽しめるのでしょうね。
福岡でお隣ですが、中々行けないですねーー、福岡の美術館までは。
でも、福岡はいい展覧会がありますね。
いつか行ってみたいです、いい企画展がある時に。
流水の上に作った水洗トイレ、娼婦の館、パン屋、ワインや総菜を食べさせるカフェみたいなところ・・・、当時の日常がそのまま残っていましたよ。
それにしても、日常感覚は2000前とあまり変わらないというのか、ポンペイが進みすぎていたのか・・・、わからなくなりました。
老人介護の問題が山積しているからです。
古都です。
そこに人の息遣いを感じるというだけで、ドキドキしますね。
10年かけて行われた平成の大修理、唐招提寺に行ってみたいです。