今日は、一日かけて故宮博物院の見学です。リニューアルオープンした故宮は翼を広げた鳳凰のようでした。設備もインテリアも近代的に模様替えされていました。当院創立80周年の企画展「大観」の開催で、その展示品は「一生難遇的看」というだけあって逸品ぞろいです。当院の収蔵文物は70万点。戦乱の中、よくもこれだけのものを、北京からはるばる台北まで運び出したものです。
「翠玉白菜」と「肉形石」は当院の目玉らしく、3年前のリニューアルの最中にも展示してありましたが、やはり人だかりしています。(展示物は撮影禁止だったので、写真はネットでお借りしました。)
玉も石もいわば宝物。遇然の天然石に、白菜や豚の角煮など身近なものをイメージしたところが面白いと思います。このギャップに返って親しみがもてます。繊細で緻密な彫刻をした職人さんは、きっと彫ることが楽しかっただろうと想像しました。翠玉白菜は清朝の妃の嫁入り道具とか。上部にはキリギリスとバッタが彫られて子孫繁栄を意味しているそうです。すごいものを持って行くんですね~。
肉形石には、皮の毛穴や脂身まで彫りこんであり、三層のバラ肉の角煮の食感が伝わり、思わず箸を入れてみたくなるほど。もともと石に色はつけられないのを、研究を重ねて彩色を施したのだそうです。それにしてもすごい技術です。
「北宋汝窯特別展」のコーナーも見ものです。汝窯焼きは、潤いのある青空色が特色で青磁の王者といわれるそうです。その釉は「雨天後の青空」と表現され、現代では再現できない独特な焼きの技法だとか。世界に70点ほどしか残っていないといわれる汝窯青磁を、故宮は21点持っており、それに英国や東洋陶磁美術館からの貸し出しも合わせて、ガラスにケースにずらーっと収められた景観は圧巻で、それはそれは美しいものでした。
「北宋書画」のコーナーには、ぜひ見たかった黄庭堅の「松風閣詩」があります。照明を落としたケースの中で静かに、作者の人生を物語っているようでした。澄み切った横の線、のびやかな左の払い、軽やかな筆の起こしと止め。事前の情報を得ていて、ぜひみたい書でした。私のような素人にも本当の書のよさがわかりました。
日本語の音声ガイド聞きながら、300を越す展示物を見るには時間が足りず、最後は時計を気にしながら駆け足で回りました。美術館グッズも買いそびれましたが、それでも今回の旅の目的は無事達成です。
閉館まで粘った美術館巡りに足が悲鳴を上げました。そこでぴったりなのが台湾のマッサージです。これもスケジュールに入れていました。サロン風エステは料金も高いので、リーズナブルな老舗の、椅子がずらりと並んだお店に入りました。女性ばかりの政府認定のマッサージ師というだけあって、安心して利用できます。料金は日本円にして4000円弱。やはり日本より安いです。90分もあっという間に過ぎました。体からアクが抜けて軽くなった気分。マッサージが癖になりそうです。
その後、遅い夕食です。アルコールを飲んでいる人は少ないけど、中国料理には相性抜群の陳年紹興酒をとりました。杏仁のデザートで締めくくり、ホテルへ。首都圏のせいか、10時なのに電車は満員。台湾の人は宵っ張りのようです。
「翠玉白菜」と「肉形石」、記憶にないっていうことは・・・(爆)
いったはずなのにねぇ・・・(苦笑)
人間、たまにはこういう場所でゆっくりと歴史の足音に目と耳を傾けることもいいことですよね~。
心の栄養、たっぷり蓄えるっていう感じですよね。
お口からの栄養もたっぷり♪味わえたようですね~!
自分たちの体と気持ちに従って行動できますから。
夫婦が同じ方向を見ているのが、何よりもいいのかもしれません。
方向が一緒だと、私が随分「得」をします。
それに私の意向も入れてくれますから、感謝しています。
感心せざるを得ません。
戦火の中でもちゃんと目利きの役人がいたのですね。
多摩さんは鉱物のこともお詳しそうですが、故宮の石は
素晴らしい上に、その大きさにもびっくりします。
透かし彫りなんか現代ではなかなか再現が難しいとか。
中国人の手は、まさに神の手ですね。
kazuyoo60さま、こんばんは!
自然石の翡翠で、白菜をイメージした感性に拍手です。
現実的で親しみがわきます。
3年前と違って、車の乗り入れも、バスもとても便利になっています。
今年オーストリアで故宮展を開くそうですが、日本は国交がないのでそれは無理だとか。政治が絡んでくると、なかなか難しくなりますね。