タイのバンコクが水没の危機に瀕している。
都内中央を流れるチャオプラヤ川が氾濫し、都内全域が沼化しそうな気配なのだ。
私も度々バンコクを訪れているが、この街は集中豪雨が降ると道路が冠水することが少なくない。
下水道の整備が行き届かない上に、土地が低く、水が流れにくいという悪い地理的状況がある。
しかも半世紀ほどの間に人口が一挙に増えてしまたっため、インフラ整備や都市計画がおっつかず、郊外にはあちらこちらにスラムが散在し、下水をそのまま運河に流すものだから、名物の水上マーケットも臭うこと少なくない。
もともと東南アジアのバンコクでは雨季の末期というと雨の降る量が中途半端ではない。
洪水は頻繁に発生し、その都度交通が麻痺し、都市機能が混乱する。
タイの伝統的な建築様式を見ればよく分かるのだが、このあたりの建築は総じて高床式。
これは普段は蛇や害虫から住む人を守るための工夫なのだが、洪水の時にその役割が最も機能し、床上浸水することを防いでいる。
タイの田舎へ行くと所得もそこそこあるので、伝統的な高床式の住居の下に、家畜ではなくマイカーを駐車している風景を見ることになるが、それだけこの地域は雨が多いという証拠である。
にも関わらず、当地へ進出している日本企業はどういうわけか工場を日本と同じ作りにして高床式になっていない。
土地を嵩上げして建設しているのならいざしらず、歴史的にも大洪水を起こしてばかりの地域に進出している割には、なぜ高床式の工場を作らなかったのか。
被害を目の当たりにして同情を禁じ得ないが、失礼ながら「アホちゃうか」と思うことも少なくないのだ。
今なんとなく気にかかるのが工場以外に地下鉄。
今から10年ほど前に開通した地下鉄は日本の資金援助と土木技術で建設されて、主要な駅には日本とタイの友好を示すプレートが埋め込まれている。
日本近海を武力で脅かすどこかの共産系ならず者国家とは違うところがここにあるのだが、それはさておき、「バンコクでの地下鉄建設は不可能」と言われていたのが、今回のような洪水に見舞われることが少なくないから。
外国からの投資の40%以上が日本からで、10万人以上の在留邦人がいて、毎年100万人以上の日本人観光客が訪れるタイ。
3.11以降は日本国内の製造業のバックアップに積極的だったが、それも危機的状態になってきた。
ところで、近々に新しいニコンのデジイチボディを買おうと嫁さんと相談していたのだが、これがニコンのタイ工場製。
品薄にならないか、それが一番気にかかっている。
| Trackback ( 0 )
|