<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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金縛り。
私はそんな体験をしたことはないが、金縛りというと子供の頃からある種の心霊体験のように扱われていて、夏休みになるとテレビで「心霊写真」なんかと一緒に特番が組まれていた。

実際、金縛りはどのような現象なのか。
テレビの科学番組だったか、どこかで学者先生に聞いたのか忘れてしまったが、疲労のために身体が眠ってしまい、脳だけがパッチと目覚めて脳からの司令が身体に伝達されない状態を「金縛り」というのだそうだ。

そんな胡散臭い金縛りを引っさげて、幽霊を実在させてコメディに仕立てたのが三谷幸喜の新作映画「ステキな金縛り」。
(以下、多少のネタバレがあります。)

公開日翌日、さっそく近所の映画館へ出かけて観てきたのだが、率直に言って、前作の「マジックアワー」のほうが私には面白かったのだ。
これは今作品が面白く無い、というわけではなく、十分に面白いのだが、なんとなく無理が無理でありすぎるような気がしてならなかった。

例えば、幽霊が見える人と見えない人がいる、なんて設定はもともとご都合主義のような感じがするし、あの世の案内人の登場や、死んだお父さんが現れるところなど、「天国から来たチャンピオン(ウォーレン・ベイティ主演)」や「コンタクト(ジョディ・フォスター主演)」からアイデア拝借という感じもいただけなかったのだ。

繰り返すが、いただけないのだが、面白いものは面白い。
脚本は多少の無理があるものの、三谷幸喜の舞台劇風演出は映画に独特の魅力を与えていると言える。
2時間半という長時間上映にも退屈することはなく、十分に楽しめる映画なのであった。

それにしても西田敏行の落ち武者は当たり役だ。
ただチョイ役の生瀬勝久が西田敏行よりも記憶に残ったのが私には印象的だった。
なお、肝心の「金縛り」はあまり重要ではないような気がするのも、今回の特長だ。

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