<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地





京都は関西の主要都市の中でも最も個性が強い街であることは間違いない。
今もなお日本の伝統文化の中心都市であることを考えると東京に引き継いだ首都機能は政治と経済だけだと思えるところが少なくない。
もちろん文化には強力な政治と経済力が必要だ。だからイベントを打つとなると東京のほうが数が多いのかもしれないが、質となると今でも京都に軍配があがるのではないだろうか。

そういう印象を抱かせるイベントが4月14日から1ヶ月の日程で開催されている。

KYOTO GRAPHIE 2018
京都国際写真祭

京都市の中心部で20箇所以上を会場に開催されている写真の祭典だ。
このアートイベントは今年で6回目。
2013年から毎年開催されているのだ。

日本の写真はハードとしての技術は世界最先端。ところがこと作品となると発信力は決して世界トップレベルとは言えない。
このアートイベントはその存在感希薄な表現手段としての日本の写真文化を、京都という日本文化の中心地で開催することにより強く世界に発信していくことを目的にしたイベントなのだ。

会場も多岐に渡る。
ある会場はホテルのロビー。
またある会場は古い町家。
さらに卸売市場や工場の一角、駅、百貨店、企業のオフィス。
もちろん博物館や美術館も会場になる。

出展されるフォトアーティストは世界で活躍する国内外から集められた精鋭と、これまた貴重なコレクションの数々。
めったに目にすることのできない写真の魅力がいっぱい詰まった写真のフェスティバルでもあるのだ。

GW初日。
私はカミさんと娘を三人でこのKYOTO GRAPHIEを巡ってきた。
巡ってきたと言っても会場は20以上あり、それも有料無料と様々なので、お手軽に鑑賞できる無料会場を中心に数か所を巡ってきたのだった。

会場は主に京都のビジネスの中心地である烏丸御池エリアと中央卸売市場のある丹波口に集中している。
私たちは烏丸御池エリアのギャラリーを中心に巡ってきた。

御池通りに面する有形文化財の嶋臺酒店。
現在ギャラリーとなっているこの建物ではシャネルをスポンサーにフランク・ホーバットの写真展が開催されていた。
1950年代の主にフランスで撮影されたファッション・ドキュメンタリーとも言えるようなモノクロ写真の数々が展示されているのであった。。

烏丸通に面したNTTのロビーでは過去のKYOTO GRAPHIEも含めてグッズの販売が行われていて、面白いのはBMWがスポンサーとなってBMWのスポーツサイクルを無料レンタルしていることだった。
今回のイベントは京都市内の各所で開かれており、多くの会場を回りたい場合は1日で完結することはできないし、場所も数キロ離れているので徒歩でまわるには広すぎるし、バスに乗るには時間が読むことができず正直便利ではない。
畢竟レンタサイクルが便利ということになるのだが、この無料レンタサイクルはファッショナブルなドイツ製自転車で都大路を走るというオシャレさもあり、なかなかな企画だと感心した。

この日、見たギャラリーで圧巻だったのは京都新聞本社の印刷工場跡で開催されているローレン・グリーンフィールドの作品展だった。
この展覧会は輪転機などの新聞用印刷機を撤去して今は使われていない地下の印刷工場跡を利用してグリーンフィールドのドキュメンタリーフォトをライトで浮かび上がらせているという、作品そのものも楽しめることに加え、廃墟にも似た展示空間の雰囲気が絶妙なインスタレーションとしての作品と化していて会場に入った瞬間その大胆さに度肝を抜かれるほどショックの大きな展覧会となっていたのだ。

一枚一枚が持つ主張。
メッセージ。
京都という街はそのダイナミックさを街ごと伝えるには最高の場所なのだ。

写真という表現手段の強いメッセージ力を改めて確認した素晴らしいアートイベントだった。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )