廃用症候群

2007年04月20日 | Weblog
【廃用症候群(はいようしょうこうぐん)】

安静状態が長期間つづいたことで起こる心身のさまざまな機能低下のこと。

症状としましては、

・筋力の低下(筋萎縮)

・関節のこわばり(拘縮)

・骨粗鬆症

・めまい(起立性低血圧)

・便秘、尿便失禁

などなど

最近は「生活不活発病」なんて言われる事もあるようです。





腰痛の相談で来院したAさん(70代女性)

大病を患った後から、一人で出歩く事もおっくうな状態になって

しまったのだそうです。

今日は息子さんに連れられてのご来院。


立ったままでおじぎ(前屈)してもらうと、ほとんど出来ない

一見すると重症…


に見えるのですが、座った姿勢では結構曲げられる。

どうやらお尻の筋力の低下が根底にあるようです


症状自体は筋疲労から来る軽い「筋膜性腰痛」のようです。

Aさんの腰の場合「筋肉痛」っていったほうがシックリくるかな?


通常であれば、「痛み」の素となるカチコチになった筋肉は

何らかの方法で緩めるのですが

Aさんの場合はNG。

大病の後のせいか、筋の衰えが激しい。

諸々問診していくと、冒頭の「廃用症候群」という言葉が頭をかすめます。


こういった方を不用意にゆるめてしまうと、

身体(関節)を支えられなくなってしまい

かえって痛みを増してしまうことにも繋がります。

なので、Aさんには受身の治療ではなく

運動療法を薦めました。

筋量をその場で増やす事はできませんが、

傷めた箇所を支える筋肉を働かせている神経を興奮させる事で

今ある筋肉を上手に使えるようにすることは可能です。


が、Aさんの顔には『揉んどくれよ』と書いてある…

しょうがない。

では、論より証拠


問題の部分を緩めてみると…

私「では、またおじぎしてみましょう。」

Aさん「さっきよりも痛い

と不満顔。

私「ね。(言ったでしょ…)」

次に、ボールを使ったエクササイズを1~2分。

立ったままおじぎをしてもらうと、先ほどとは全くの別人。

グニャリとおじぎが出来るように!!


私「どうですか?

Aさん「でも、いたいのは変わらん…

私「…


不満顔のAさんをなだめつつ、

痛みをなくすには、毎日の運動が大事だということを

じっくりと説明しました。


私「今の状態なら、近所を散歩するのも良いリハビリになりますよ。

  駅前の喫茶店でお茶して帰るのも、
  
  (行き帰りの道程が)リハビリになります。

  治療にお金を払ったと思って、いつもの生活にほんのちょっと

  歩き回る口実を作ってみませんか?」

歩く事でまた痛みが強くなれば、またいつでも治療するからとなだめ、

30分歩き回っても翌日に痛みや疲労が残らないようになる事

が当面の目標だと告げて治療は終了しました。


あとは本人しだいですね。

きっと、最初の2週間はつらいでしょう

弱った筋肉(関節周囲の組織も)が鍛えられる過程で

筋肉痛を起す事も当然あるでしょうし、

またそこが、「廃用症候群」のリハビリの難しさですね

出来るサポートは当然しますので、

Aさんには何とか乗り越えていただきたいものです


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