長引く肩の痛み~肩甲下筋の線維化や瘢痕~

2020年03月21日 | 治療の話

新型コロナの影響でなかなか窮屈な日々が続きますねぇ…

でも、4月からは学校もぼちぼち始まりそうで親目線ではチョットホッとしてたりもしています。

 

さて、今回は肩の痛みの話。

五十肩も投球肩も肩峰下インピンジメント症候群も含め、

ときおり難治例(なかなか治ってゆかないケース)に出会います。

まだ治りきっていない段階でやりたいトレーニングやゲームをしてしまうケースや

提案したセルフケアを怠っているケースも多いのですが、

中にはきちんとセルフケアに取り組み、患部が耐えられる範囲の運動を心がけているにも関わらず

なかなか治らないケースもあります。

難治である要因には個別性があるのですが、

その多くに肩甲下筋という筋肉の線維化や瘢痕が見つかります。

この肩甲下筋という筋肉はけっこう厄介な場所に生えている筋肉で

一般的に治療しにくい筋なんです。

場所はここ

絵のように、肩甲下筋は肩甲骨の前面に付着していて胸郭の間に挟まれていてなかなか触りずらいんです。

 

問題を起こしやすい部分は下の図のところ。

オレンジの点のところが圧痛点を作りやすいところです。

肩甲下筋のダメージがまだ新しい時(怪我をしているとき)や委縮して脆くなっているときは

肩甲下筋に力をかけた瞬間やストレッチされたときに肩の前面に痛みが出ます。

※これはピッチングを想像してみてください。

 コッキングの際に上記のようなシチュエーションが発生します。

 

また、肩甲下筋の故障が慢性化すると下の絵のように肩裏や手首に鈍痛や痺れたような痛みが広がることもあります。

トリガーポイントによる関連痛の例です。

こうしたとき、肩の裏側が痛むからと言って肩の裏を一生懸命ほぐしても徒労に終わります。

 

下の絵のオレンジの点を左から①②③とさせていただいて、

②と③の点はセルフケアでもなんとか行けるところですが、

①にできた線維化はセルフケアでは難しいところ。

こうした部分は特に治療の手が必要となります。

①のポイントは周囲の筋が邪魔してなかなか手が届かないものですから

私はもっぱら鍼を使います。

最近はやりの「肩甲骨はがし」のような手法も軽度な症例であればできるのですが(私も使いますし)、

①にアプローチしなければいけないケースに限って周囲の筋(僧帽筋や菱形筋、そして忘れちゃいけない前鋸筋)

が硬すぎて十分にアプローチできずに終わってしまいがちになります。

その点、鍼は周囲の緊張おかまいなしに①にリーチできるので重宝しています。

鍼でなくては治療ができないとは言いませんが、この件に関しては使い勝手がいい道具なのです。

それでも数か月、場合によっては数年をかけて縮んだ組織を正常化するにはそれなりに時間がかかるものですが、

この肩甲下筋の故障に気が付いてからは難治例も迷うことなく治療を進められるようになりました。

(注:魔法のように一瞬で治るということではないですよ)

 

他にも難治例では一部の靭帯(肩甲上腕靭帯や烏口上腕靭帯)や腱の損傷(腱板や上腕二頭筋長頭腱の脱臼)と

それに続発する周辺組織との癒着が足を引っ張っていることがあります。

でも、ちゃんと問題が把握でき、計画的な介入ができれば治らないということはありません。

肩関節の故障をこじらせて上腕骨側の付着部の骨が解けてしまったなんて例も治療しましたが、

ちゃんとリハビリしたら競技に復帰できるようになりました。

治るには治る理由があり、治らないには治らない理由があるわけです。

あきらめずに行きたいものですね。

困ったときにはひとりで悩まずご相談ください。

待ってます。

 

とよたま手技治療院

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