【モートン病:モートン神経種】
主な症状は、足の裏の指の付け根(ちょうどつま先立ちした時に床に着くところ)あたりの痛みやしびれです。
足の指の付け根を通り抜ける足底神経という神経が、隣接する深横中足靭帯という靭帯と地面に締め付けられて発症します。
締め付けを受けた足底神経が傷つき、瘤を作ることから「モートン神経腫」とも言います。
こうした状況は足の横アーチが潰れることで起こりやすいので、
横アーチの天井のトップを作っている中指と薬指の間に起こることが多い故障なのですが、
条件さえそろえばどの指の間にも起こります。
ハイヒールを履く習慣がある方や、つま先立ちになることが多い方に起こりやすく注意が必要です。
治療としては神経腫への消炎剤の注射やインソールによる補正が一般的ですが、
治るまでに数か月を要するとされています。
図版引用:出典不明※WEB上から拝借しました。
ただし、モートン神経腫のような痛み方なのに、モートン神経腫ではない…
といったケースも実際には多いもので…
今日は、「モートン病」みたいだけど「モートン病」ではないケースのお話です。
では、始まり始まり。
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つま先立ちになると足の指の付け根が痛むとご来院のAさん。
痛む場所は、右足の人差し指と中指の付け根の間。
Aさんのお仕事は社交ダンスの先生です。
お仕事中に(つまりダンスのレッスン中に)つま先立ちになることも多々あるだろうと思います。
実際、ソシアルダンスをされる女性のモートン病の相談は結構多く
「明日試合なの!泣」
なんて話もちらほら。
そんな時には薬指の付け根に絆創膏を貼ります。
これ、痛いところを保護しているのではなく、横アーチを補正してあげてるんですね。
なので、どの指の付け根が痛いのかは関係なく薬指の付け根に貼るんです。(ケースバイケースですが…)
すると直後から踊れるようになるケースはけっこう多いんです。
その後は足底のアーチを正常化するテニスボールを使ったエクササイズを指導すれば
だいたいの足の相談は落ち着いてしまいます。
足底筋膜炎然り、外反母趾然り。
って、話が逸れましたね(;^ω^)
Aさんの症状や、痛みの出るシチュエーション(つま先立ちになる)から内心、『モートン病かしら?』
と思いつつ調べてみるも、神経腫らしきものもなく、横アーチはむしろしっかりしています。
とはいえオーバーユース症候群の初期と考えればそれらの所見がなくとも痛みがあって不思議はありません。
さらにAさんの足を注意深く調べてみると、
人差し指と中指の付け根の骨、ちょうど足の甲の前半部分の骨、
中足骨といいますが、それらの動きが小さく、幅も狭くなっていることが判りました。
試しにAさんの人差し指と中指の中足骨の間をグイッと押してみると「イタタタッ!!」と悲鳴を上げるAさん。
どうやらAさんの足は「骨間筋」のトラブルを起こしているようです。
この骨間筋、故障を起こすとモートン病のような痛みをおこすので、
「病院でモートン神経腫だって言われた!」と間違われるケースもしばしば。
Aさんの骨間筋をしっかりと緩めた後、つま先立ちをしていただくと痛みは1/3にまで減ったとのこと。
通常の治療では1/3にまで痛みが減れば経過観察にするのは定石なのですが、
腫れてもいない、炎症をにおわす所見も乏しい、そんなAさんの足に起きる変化としては
ちょっと物足りなく感じます。
ここで何か見落としてはいまいか!?と考えました。
そこで、もう一度Aさんの立ち姿を観察することにしました。
すると、Aさんの体重は右足へと乗りやすく、
右の腰方形筋という筋肉の下半分が固く引き締まり、
右の寛骨が窮屈に引き上げられていることに気が付きました。
↑極端に言うとこんな感じ
ソシアルダンスでは男女の右半身が重なる様に構えますから、
右への重心が習慣となるのかもしれません。
体重を右へ乗せると、身体の自然な連動性として右足のアーチは高くなります。
すると前出の骨間筋の緊張も高くなる。
これをみて私は、Aさんの足の痛みがスカッと取れないのは
骨盤部に残る癖から、足の骨間筋は力を緩めることができないシチュエーションに追い込まれているため!
なのではないか!?
といった推論を立てたわけです。
いや~楽しくなってきた!
再度、Aさんの仙腸関節の動きを調べてみたところ、やはり寛骨は下へと降りてこない。
よっしゃ!
ということで、Aさんの右寛骨へ手を入れてみることに。
結果やいかに!?
消えてくれました(*´ω`*)
ようやくAさんも私も満足です。
めでたしめでたし!