水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

読書感想文

2012年08月29日 | 国語のお勉強

 アパートの下の部屋のお母さんが、「もお、原稿用紙買ってきたわよ。いつまで経っても感想文書かないの」と愚痴ってた。夏休みも終わりをむかえ、宿題の追い込みに苦しんでいる方も多い時期だろう。
 では、読書感想文をてっとりばやくでっちあげるちょっとしたコツを。

1 あらすじを書くより「引用」しよう。
 どんなお話かをまとめ、それについて感想を述べるという定型はやめる。あらすじをまとめるのは難しい。
 印象的な場面を見つけたら、その場面を書き写してしまおう。物語ではなく評論文だったら、大事そうな部分をそのまま書き写そう。あっというまに行数もかせげる。ただし、一気に30行とか引用すると印象よくないかもしれないので、一回の引用は長くても半分から一枚弱(10行から15行)におさめ、それを複数用いる。引用部分の前後はもちろん一行ずつ空白行にする(ほんとは4、5行の引用が効果的)。
 引用したら、くわしく感想を書かない方がわかっているように見える。
 「主人公○○の心のいたみが自分のことのように伝わってくる」とか「筆者の怒りは、日本人みんなが共有するべきではないだろうか」的に、ざっくりまとめるといい。

2 感想を述べるより「体験」を書こう。
 感想をたくさん書こうとすると大変だ。感想、つまり人間の感想なんてそんな何行分にもならないから。
 本の内容と多少なりとも結びつきがありそうな、自分の経験を書いてみる。
 いや、本の内容とは全く関係ないことの方がかえっていいかもしれない。「今まで」でもいいし、「この夏」でもいいけど、すごい記憶に残ることがあったら、それを言葉にしてみる。原稿用紙5枚が宿題なら、2枚分ぐらいつかってもいい。その体験にインパクトがあればあるほど、評価はあがる。ポイントはできるだけ具体的に書くこと。書いてるうちに、本の内容との結びつく何かが見つかる。


 
3 きれいにまとめるより、「変化」を意識しよう。
 本を読むときに、「この主人公は、どんな出来事によってどういう変化をしたか」「筆者は、どういう事情でこのように考えるようになったか」を意識すると、内容ががつかみやすい。そこは、引用もしくは、自分のことばで書いておけるといいなあ。
 また自分の体験を書く部分でも、その体験でどう考えるようになったかとか、何かに気づいたとかを付け加えるといい。
 それから、自分はこの本を読むことでどういう変化があったかについて触れておこう。
 ただし人の中身なんてそう簡単に変わるものではないから、本一冊読んだからといって、道徳的にすごく成長しなくたっていい。無理に道徳的にきれにまとめることはない。だってうそくさいから。
 ただ、「今まで何も考えてなかったけど読書感想文のおかげでいろいろ考えることができてよかった」的なことばは、けっこう国語の先生的にはツボです。

コメント
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