水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

笑う招き猫

2017年05月21日 | 演奏会・映画など

 

 SS高校さんは今年の自由曲なにかな? え、「バンドのための民話」? みたいな感覚だろうか。
 TpもFlもEuphも超高校級のプレーヤーがいるのになぜ、というような。
 もちろんあの学校さんやあの学校さんなら、「民話」でも「インヴィクタ」でも西関東に進めるに違いない。
 それほどのサウンドをもってして、あえて毎年新しいレパートリーを開発し、日本の吹奏楽を発展させてきた。
 影響力を考えたなら、大人のバンドやプロの楽団より、よほど貢献してるのではないだろうか。
 映画「追憶」をつくられた方々も、邦画の歴史を支えてこられたことは知識として知っているし、つまらなかったわけではない。
 小栗旬や木村文乃や安藤サクラをキャスティングできて、予算もそれなりにあって、宣伝も充分にできてという恵まれた状態なのに(ひょっとして恵まれている「から」なのか?)、ごくごく普通の脚本をふつうにとりました、どうですか絵はきれいでしょという作品に、高い志は感じない。
 富山ネイティブ設定の登場人物たちに美しい標準語で会話させてなぜ平気ななんだろ。
 広瀬すずちゃんや真剣祐くんの福井弁はよかったなあ。
 そんな「大作」に比べると、「笑う招き猫」なんて、都内でも二箇所くらいしか上映してないけど、与えられた条件のなかでやれるだけやってやろうという意気をひしひと感じる。
 何より清水富美加、松井玲奈という二人にコメディエンヌが、その才を存分に発揮していた。
 芸歴五年を経て、なかなかブレイクできない女性漫才師を二人が演じる。
 生活との両立、親との関係に悩み、芽が出るかどうかわからないことに怯えながら、セクハラにたえながら、そして時にケンカをしながら、時にもう解散だと罵しりあいながらも、二人で乗り越えていこうとする健気さ。
 二人とも、女優さんとして生きていく過程でいろいろあるんだろうなあと感じさせるような深みのあるお芝居。だから、清水富美加ちゃん、もったいないよ。脇役の若い俳優さんもみんな上手で、きっちりキャラが立っているし、岩松了、菅原大吉、戸田恵子さんといったベテラン陣が貫禄のお芝居でささえている。今年一番泣いた作品だ。

コメント
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