学年だより「排気量」
「100ます計算」の陰山英男先生は、長年小学校の教壇に立ち続け、陰山メソッドとよばれる学習方法を編み出した先生として有名だ。
勉強とは何か。「人は何のために勉強するのか」を考え続けた結果、陰山先生がたどりついた結論とは、「勉強は集中の練習」というものだった。
知識を身につけることや成績をあげることが勉強の最終目標ではない。
脳を集中させる経験の積み重ねで、その人の能力そのものをあげることが目標だと述べられる。
~ 集中とは、脳を最大限に使うことです。
文章を読んだり、数式を計算したり、英単語を覚えたりといった作業は、いずれも脳のトレーニングにつながります。
勉強で基礎というと、多くの人は「知識」のことだと考えますが、より重要なのは「能力」を身につけることです。
勉強すると脳がもつポテンシャル(潜在能力)が高まり、能力が蓄えられます。
それは勉強の場面においては、数式を解く力になったり、英単語を思い出す力になったりしますが、社会に出ると、ビジネスにおける正解のない問題を解決する力などにも応用されます。
また、「読み・書き・計算」をする際に使われる脳細胞は、コミュニケーションを司る脳細胞と同じであることがわかっています。
つまり、勉強によって脳の力を鍛えることで、人間関係を築く力や冷静に人を見る目なども養われるのです。
こうした能力は、いずれも仕事で成果を出すために不可欠なものです。
大人になり、社会に出たときこそ、学校で脳をどれだけ鍛えたかが問われます。
つまり、「学校の勉強=集中する練習」は、じつは「社会に出てから活躍できる人になるためのトレーニング」なのです。 (陰山英男『人生にとって意味のある勉強法』PHP新書) ~
最新の科学が明らかにしていることと、陰山先生の指摘とが驚くほど合致する。
遙か遠くに、自分の行きたいところがあるとする。
その長旅の移動手段として、3000ccの高級車と、660ccの軽自動車の両方が用意されていたとき、どちらを選びたいだろうか。燃費や税金は関係ないとして。
大学を出て、就職し、人生の大きな目標に向かって進んでいこうとしたときに、3000ccの脳と660ccの脳とでは、どちらが成功に近づきやすいだろう。
繰り返しになるが、脳の「排気量」は自分で大きくすることができる。
今必死で脳を使っていくと、未来の自分がお礼を言いにくるにちがいない。
今やるべきことは、今その瞬間は辛く苦しいこともあるかもしれないが、未来とのつながりのなかに位置づけたとき、新しい意味をもってくる。辛いこと苦しいこと自体が喜びに変わる。