学年だより「人生はトランプ」
みなさんは、ほんとうに運がいい。
この時代の、この日本に、つまり人類史上最も豊かな環境に生まれ、勉強や部活動に心ゆくまで没頭することができるのだから。
世界中の多くの国々の同世代を連れてきて、「好きに勉強していい」と伝えたなら、感涙して一心不乱に努力し続ける若者は、たくさんいるだろう。
「そうあること」が当然となっている者には、「そうあること」の価値が分からなくなってしまう。
今の時代、日本の、埼玉の、川東に通わせてもらえる家庭に生まれ落ちたという時点で、ポーカーで言えば配られたカードに2ペアがあったようなものだ。
他人のカードを見れば、最初から3カードやストレートを持っているように見える人がいるかもしれない。家庭環境はもとより、才能、容姿、人柄など、たくさんのものを合わせもっているような人はたしかに存在する。
しかし、それは、嘆いてもしょうがない。なぜ自分は3カードではないのか、なぜストレートフラッシュでないのか文句を言うのは、幼児のわがまま同じだ。
与えられたカードを生きるしかないのだ。しかも、人生においては、何度でもカードをチェンジすることができる。他人との駆け引きも必要ない。
自分でじっくり手札を育てて、勝負に出ればいい。
先日、東大の入学式で、上野千鶴子氏が語った言葉が話題になっていた。
~ あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。
ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。
そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。
世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。 (上野千鶴子「平成31年度東京大学学部入学式 祝辞」より) ~
東大生だけに適用されるべき考え方ではない。
恵まれたカードの持ち手は、その貴重なリソースを、運を、他人のためにまでいかせることを目標にするのが、人として真っ当な方向性だはないだろうか。
みなさんは、ほんとうに運がいい。
この時代の、この日本に、つまり人類史上最も豊かな環境に生まれ、勉強や部活動に心ゆくまで没頭することができるのだから。
世界中の多くの国々の同世代を連れてきて、「好きに勉強していい」と伝えたなら、感涙して一心不乱に努力し続ける若者は、たくさんいるだろう。
「そうあること」が当然となっている者には、「そうあること」の価値が分からなくなってしまう。
今の時代、日本の、埼玉の、川東に通わせてもらえる家庭に生まれ落ちたという時点で、ポーカーで言えば配られたカードに2ペアがあったようなものだ。
他人のカードを見れば、最初から3カードやストレートを持っているように見える人がいるかもしれない。家庭環境はもとより、才能、容姿、人柄など、たくさんのものを合わせもっているような人はたしかに存在する。
しかし、それは、嘆いてもしょうがない。なぜ自分は3カードではないのか、なぜストレートフラッシュでないのか文句を言うのは、幼児のわがまま同じだ。
与えられたカードを生きるしかないのだ。しかも、人生においては、何度でもカードをチェンジすることができる。他人との駆け引きも必要ない。
自分でじっくり手札を育てて、勝負に出ればいい。
先日、東大の入学式で、上野千鶴子氏が語った言葉が話題になっていた。
~ あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。
ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。
そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。
世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。 (上野千鶴子「平成31年度東京大学学部入学式 祝辞」より) ~
東大生だけに適用されるべき考え方ではない。
恵まれたカードの持ち手は、その貴重なリソースを、運を、他人のためにまでいかせることを目標にするのが、人として真っ当な方向性だはないだろうか。