何かをなしとげようと思ったなら、それ以外の多くのものをがまんしなければならない。
あたりまえの原則だが、ときどき忘れそうになる。
試合に勝ちたいけど練習がもう少し楽ならいいなあとか、仕事の成果をあげたいけどのんびりしたいなあとか。
そんなことはあり得ないのに。
仕事と遊びに境目がなく、人生を謳歌しながら億万長者みたいな人はたしかにいるが、彼らもおそらくいろんなものを捨てて今があるはずだ。われわれ一般人にそれが見えないだけで。
世間の耳目を集め華々しい活躍をしている人、たとえばアスリートとか、アーティストとよばれる人も、その華々しさの元には、一般人の想像を超えた積み重ねがある。
幼い頃、宇宙飛行士になりたいという夢を持ち、女の子は無理と言われ続けて、それでもあきらめずに努力し続けてきたサラ。
その過程で出会って結婚した夫との間に一女をもうけ、しかし離婚してシングルマザーとして娘を育てながら、宇宙飛行士の訓練を続けている。
そして、ついに宇宙飛行士に抜擢されて、数週間の実践的訓練に経て、宇宙へと旅立っていく……。
彼女のこの一連の過程だけ見れば、努力が報われて夢がかなったハッピープロセス、ハッピーエンドだが、それは幼い娘と離れて暮らすことでもある。
娘のステラちゃんは小学校低学年の設定だと思うが、高1に1年会えないのとではやはり意味が異なる。
母親の庇護があってはじめて心が落ち着く年齢だし、成長の度合いもまるっきり違う。
先輩の飛行士が「大事なのは、帰還したあとの生活だ。自分抜きで1年間暮らしがすすんでいるから」と話してくれる場面があった。
自分抜きで娘が育っていくこと。母親にとっては、一番せつない夢の代償かもしれない。
二人の涙は、母親経験がない者の涙も誘う。
夢の実現には、女性であることの困難もつきまとう。
熱を出した娘の対応で訓練に遅れればいやみを言われ、しょせん女にはつとまらない、はやく辞めろ言われる。
子育てしながら仕事との両立に苦労する女性でなくても、その切実さが伝わる。
それでも、彼女はあきらめない。
「もうムリ!」と思わず口にするほど追い込まれながら、なんとか自分を保てているのは、やはり娘の存在のためだ。
この辛さから逃げたなら、かえって娘に顔向けできないから、というような。
ロケットを見せるという約束を果たし、あれに乗っていくからねという母親を見つめる最後のシーンでは、一人の女性としてがんばってと言っているかのような落ち着いた笑顔を見せるステラ。
この子役の子、なんて上手なんだろ。かわいいし。西洋人のかわいい少女は反則なぐらいかわいい。
あんまりたくさんの映画館でやってる作品ではないが、地に足のついた名作だと思う。
夢を叶えるためには、友達を楽しく過ごす時間も、ゲームをしたりマンガを読んだりする時間もなくなる。
お酒を飲んでわいわい騒ぐ時間もなくなる。仕事のために親の死に目にあえないなんてこともある。
たくさんのことを失う。でもおそらく別種のものを手に入れられることも間違いない。
どっちをとるかは、その人の考え方、生き方の問題であり、そこに正解はない。
あたりまえの原則だが、ときどき忘れそうになる。
試合に勝ちたいけど練習がもう少し楽ならいいなあとか、仕事の成果をあげたいけどのんびりしたいなあとか。
そんなことはあり得ないのに。
仕事と遊びに境目がなく、人生を謳歌しながら億万長者みたいな人はたしかにいるが、彼らもおそらくいろんなものを捨てて今があるはずだ。われわれ一般人にそれが見えないだけで。
世間の耳目を集め華々しい活躍をしている人、たとえばアスリートとか、アーティストとよばれる人も、その華々しさの元には、一般人の想像を超えた積み重ねがある。
幼い頃、宇宙飛行士になりたいという夢を持ち、女の子は無理と言われ続けて、それでもあきらめずに努力し続けてきたサラ。
その過程で出会って結婚した夫との間に一女をもうけ、しかし離婚してシングルマザーとして娘を育てながら、宇宙飛行士の訓練を続けている。
そして、ついに宇宙飛行士に抜擢されて、数週間の実践的訓練に経て、宇宙へと旅立っていく……。
彼女のこの一連の過程だけ見れば、努力が報われて夢がかなったハッピープロセス、ハッピーエンドだが、それは幼い娘と離れて暮らすことでもある。
娘のステラちゃんは小学校低学年の設定だと思うが、高1に1年会えないのとではやはり意味が異なる。
母親の庇護があってはじめて心が落ち着く年齢だし、成長の度合いもまるっきり違う。
先輩の飛行士が「大事なのは、帰還したあとの生活だ。自分抜きで1年間暮らしがすすんでいるから」と話してくれる場面があった。
自分抜きで娘が育っていくこと。母親にとっては、一番せつない夢の代償かもしれない。
二人の涙は、母親経験がない者の涙も誘う。
夢の実現には、女性であることの困難もつきまとう。
熱を出した娘の対応で訓練に遅れればいやみを言われ、しょせん女にはつとまらない、はやく辞めろ言われる。
子育てしながら仕事との両立に苦労する女性でなくても、その切実さが伝わる。
それでも、彼女はあきらめない。
「もうムリ!」と思わず口にするほど追い込まれながら、なんとか自分を保てているのは、やはり娘の存在のためだ。
この辛さから逃げたなら、かえって娘に顔向けできないから、というような。
ロケットを見せるという約束を果たし、あれに乗っていくからねという母親を見つめる最後のシーンでは、一人の女性としてがんばってと言っているかのような落ち着いた笑顔を見せるステラ。
この子役の子、なんて上手なんだろ。かわいいし。西洋人のかわいい少女は反則なぐらいかわいい。
あんまりたくさんの映画館でやってる作品ではないが、地に足のついた名作だと思う。
夢を叶えるためには、友達を楽しく過ごす時間も、ゲームをしたりマンガを読んだりする時間もなくなる。
お酒を飲んでわいわい騒ぐ時間もなくなる。仕事のために親の死に目にあえないなんてこともある。
たくさんのことを失う。でもおそらく別種のものを手に入れられることも間違いない。
どっちをとるかは、その人の考え方、生き方の問題であり、そこに正解はない。