水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

わらしべ長者(3)

2022年10月22日 | 学年だよりなど
2学年だより「わらしべ長者(3)」




 反物を手にして、若者はさらに歩いて行く。そもそも彼はどこに向かっていたのか。
 それはわからない。たぶん、歩き続けることが大事だったのだろう。
 今度は、倒れた馬を前に途方にくれている男に出会う。
 「どうしたのですか?」
 「どうもこうもねえよ、動かないんだ。これから市場にいって、反物と変えてこなくちゃならねぇんだが」
 「反物ならありますが、これでいかがですか」
 「ほんとか、すまねぇな」
 馬を手に入れたとはいっても、病気の馬だ。若者はその時点では決して得はしていない。
 若者は懸命に看病した。一晩中面倒をみていると、朝には元気になる。元気になってみると、毛並みの整った実に見事な馬だった。
 馬に乗って若者は旅を続ける。
 ある大きなお屋敷の前を通ったとき、主人と思われる人から声をかけられた。




~ 「そなた。立派な馬に乗られているな。どうか、一つ頼みを聞いてくださらぬか。
 私は、これから急に出仕せねばならぬ。しかし我が家の馬の具合がどうも悪くてな。
 その馬を私に貸してはくださらぬか。そのかわりと言ってはなんだが、わしがいない間、この家に逗留していただいてかまわぬ。もちろん食事も用意させていただく」
「はい、どうぞ。おつかいください」
「ありがたい。恩にきます。おい、こちらの御仁が今日からお泊まりになられる」
 はい、わかりましたと女中が返事をする。
「あ、この方は……」
 奥から一緒に出てきた若い女性も、若者の顔を見て驚いた。
「父上、この方でございます。先日わたくしを助けてくださったのは」
「何、そなたが、娘の命を救ってくださった方か。これは観音様のお導きにちがいない。そなた、この娘を娶(めと)ってはくださらぬか。その馬を見ればそなたの氏素性は言うまでもない」 ~




 こうして、若者は、その屋敷に婿入りし、後に当主となる。
 素直に教えにしたがい、工夫し、出会った人にやさしくしながら、やるべきことをやり続ける。
 お金持ちになるための教えは、そのまま勉強ができる方法に見えてこないだろうか。
 夢を叶える方法だと言ってもいいかもしれない。
 観音様に訊く、つまり知者に尋ねる(第一段階)の前に、教え0(ゼロ)もある。
「お金持ちになりたいと思え」つまり「志望校に受かりたいと思え」「夢を叶えたいと思え」だ。
 まず「志を抱け」とも言い換えられる。昔から伝わるお話だ。

コメント
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