水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

マネージャー

2016年08月03日 | 教育に関すること

 

 甲子園練習で、シートノックの手伝いをしていた女子マネージャーが、係員に制止されてグランドから出されたというニュースを見た。女子はグランドに入れないという規則のためだという。
 ふだんから、このマネージャーさんはノックの手伝いをしていたのだろう。その学校の監督さんは、ユニフォーム着用ならいいのかと勘違いしていたとおっしゃっていた。
 このニュースについて、「差別だ」「遅れている」「そもそも規則が変」「高野連はなんだ」などと批判が起こっている。
 「危険防止に基づく規則なのだから、整合性がないわけではない。男女差別は別の話」と擁護するスポーツ新聞の記者さんが書いている文章も読んだ。
 「じゃ、男子なら危険でもいいのか」という反論も当然あるのだが。

 でもね、みなさん、根本的にずれてる。
「女子マネージャー」という存在そのものについて、どなたも疑問に思っていない。
 野球にかぎらないが、専従で選手をサポートする役目の生徒さんがいて、それを女子が担うのが普通という感覚に疑問を抱かないことが、本当はおかしいのだ。
 去年(かな?)。ある高校(ていうか、埼玉のライバル校。あ、野球のね)のマネージャーが、成績優秀な選抜クラスに入ることを拒んでマネージャー業に専念しおにぎりを作り続けた、自分の進路まで犠牲にしてがんばったという「美談」があった。
 選抜クラスに残るかどうかも、どれくらい部につくしたいかも、本人が自分の気持ちにしたがってきめればいい。 でも、マネージャーは「おにぎりをつくる」という、仕事というか、役職というか、係というか、そういう存在があること自体はどうなのか。
 おにぎりは自分の家からもってくればいいし、その子はその分勉強すればよかったのでないか。
 いや、わかってるよ。その子がにぎってくれるから、練習に身が入るのだ。男ってほんとに単純よね。
 じゃ、女子のいない学校はどうすればいいんだ!

 「マネージャー」という存在がいてくれれば助かると思う。選手たちも、監督も。
 でも絶対的に必要な存在とはいえない。
 男子校で考えてみると、最初からマネージャー希望で入部する生徒はまずいないだろう。
 部によっては、途中から「マネージャー」として働きはじめる子もいる。
 最後まで選手として頑張りたかったけど、自分の実力を考え、別の形ででもチームに貢献したいと思ってマネージャー役をひきうけるというパターンが多いのではないか。
 マネージャーになれと言われて、それなら辞めますと部を去る例も、ないことはないはずだ。
 男子校で考えた場合、専従としてのマネージャーはやはりまやかしだと思う。
 どんな部でも「裏方仕事」はある。
 それはみんなでやればいい。
 その比率が、ベンチ入りメンバーと、はずれてしまった子の間に差があってもしかたがない。
 じゃ、女子ならいいのか。
 そこに疑問をもってない方は、「女子マネージャー」がグランドに立つのに賛成でも反対でも、高野連さんと次元は同じだと思う。
 エースで四番でも、交代でスコアつけて、くさむしりして、洗濯して、おにぎりつくって、球出しして、勉強もちゃんとやるのが、部活動としてのあり方だろう。

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