発がんは確率的現象であるため、リスクという発想で対処すべき病だ。
つまり、病原菌のような特定の要因によって必発するのではなく、
多様な要因が相互的に作用して発生する。
いいかえると、特定要因だけを対処してもダメで
(たとえば喫煙が肺がんを必発させるわけではないのと同時に、
禁煙すれば確実に肺がんリスクを0にできるわけでもない)、
トータルなリスクを低減させる努力をした方がいい。
このようなリスク思考は、防災でも同じ。
では、トータルな発がんリスクを低減させるにはどうしたからよいか。
さまざまな発がんリスク要因、たとえば生活習慣、食品、放射線などを網羅的に知ることである。
そのための格好な本が、安達洋祐著『エビデンスで知る がんと死亡のリスク』(中外医学社)だ。
この本、大学図書館でみつけて、借りて読んだら、あまりにも重要情報満載なので、ネットで注文し直した。
自分だけでなく家族にも読ませたいほど。
対照研究やコホート研究で統計的に有意な結果を世界中から収集し、その客観的基準に基づいたリスクを表記している。
性別・人種から性格、肥満、運動、さまざまな食品・薬品、喫煙・飲酒・コーヒーなどの嗜好品、携帯電話・放射線・スポーツ・ストレスなどのリスクがすべて研究論文をもとに記載されている。
もちろん、情報源の論文も一覧で紹介されている。
医学書なので4600円と高価だが、内容的に一般人にもおおいに参考になる。
むしろ一般人こそ、自分の生活の発がんリスクを計算するのに使うべきだ。
面白かったのは、血液型別でかかりやすい病気が異なるデータだ。
血液型は性格とは関係ないが、体質としての性質はあるみたいだ。