高倉健の訃報に驚いた。
日本映画界の巨星というだけでなく、「日本の男」の象徴のような存在だった。
寡黙で感情表現が下手だが、内には誠実な心をもっているという男の…
彼の強烈な存在感が、彼の出演作を名作にしてしまう。
彼の出演作が、ことごとく高倉健色に染まってしまって、辟易してしまうほどに。
私が最初に観た彼の映画は、大学内で放映された「唐獅子牡丹」あたりのヤクザ物だった。
映画館の後ろの座席の女子学生たちが、さかんに「カワイイ」を連発していた。
背中の大きな刺青姿での濡場シーンでは、相手の女優ではなく、彼の方にセクシーさを感じてしまった。
手元にある最後の映画は、「あなたへ」だが、彼の隠しきれぬ老いた姿に、観るのがつらくて、そのままにしてある。
安心して観れるのは「幸福の黄色いハンカチ」「新幹線大爆破」「八甲田山」あたりか(ただし「八甲田山」は厳冬期に観ることにしている)。
「あなたへ」を見終っていない段階で追悼にふさわしいと言えるのは「鉄道員」かな。
死因はわが父と同じ悪性リンパ腫。
冥福を祈る(このセリフに文句を言う奴がネットで散見するが、自分の宗教心に基づいた素直な気持ちを述べればいいのだ。たとえばムスリムであればムスリム的に)。