今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

心理的距離の論文提出

2016年11月16日 | 心理学

ノルマとしている年2本目の論文が仕上がった。

編集委員は自分なので仕上がりが即提出。

これで研究者としての自分のノルマは達成。

帰宅後は祝杯といきたいが、あえて明日(木曜)に延期する。

論文のテーマは、ライフワークにしている心理的距離。
近ごろは、今まで否定していた尺度化を志向している。
その尺度の両端(自己とアカの他人)について、尺度上の価を考察した。
すなわち、自己は距離の原点となるわけだが、本当に点なのか。
むしろ自己内に尺度空間が存在するのではないか。
そしてアカの他人という最遠の距離は無限遠なのか有限距離なのか。
すなわち、客観化したい尺度を単に機械的に構成するのではなく、尺度空間にきちんと現象学(一人称)的な根拠を付加したいのだ。
そうすることが真にまっとうな心理学的尺度だと思っている。

自称「計測マン」からみると、心理学的尺度って、計測としてはけっこういい加減だ。

もちろん物理学的計測とは異なる基準でいいのだが、その基準がせいぜい相対的な統計分布でしかない。
対人関係の1変数ではなく、関係性そのもの、自他の存在論的間隙を示す心理的距離を尺度化するのであれば、それ相当の心理学的・現象学的・存在論的根拠がなくてはならない。
それを追求するのが、私の残された研究生活だと思っている。

現象学的探究を進めると、自分が自明視していた、すなわち通俗的観念で分かったつもりになっていた問題が次々と浮かび上がってくる。
先行研究を自明化して、それにデータを積み重ねる通常の”科学的”やり方と違い、おのれの自明視をえぐり出すことで、遡及的に現象の根源に接近する。
そういうアプローチをとって、心理的距離という現象を解明し、その解明にもとづく正確な測定のための尺度を作りたい。
通俗的な観念のままで安直に作られた尺度では、解明の道が塞がれてしまうからだ。

論文は来春に自分のサイトにてPDFでアップする。