今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

西野監督に”信玄”を見た

2018年07月01日 | 時事

日本対ポーランド戦のサッカーを観た感想として、私も「観ないで結果だけを知ればよかった」と思った。
といっても、戦いを放棄した日本(とポーランド)を観て、怒り等の負の感情には至らず、むしろ、これが最善の策ということは理解し、苦笑しながら、試合終了を待った。
ベスト16になるという本来の目的に達するための、リスクを最小にして、到達確率を最大化する行為こそ、ベストな戦略であることは否定できない。

国内でこれを批判する人たちの価値観は、まるで太平洋戦争中にバンザイ攻撃をして玉砕する日本軍を賞讃しているかのよう。 

そういう行為に美学を感じることは分らないでもなく、私自身、一番好きな戦国武将は猪突猛進型の上杉謙信だが、彼はめっぽう強かったからこそ、その猛進が爽快なのであって(佐野城での敵中横断!)、返り討ちにあって玉砕するような弱小レベルだったら、越後統一前に滅んでいたはず。

その猛将謙信を手玉に取ったのが、知将武田信玄である。
彼は、華々しい勝ち戦さを求めず、結果の利益を重視した。
信玄が旗印とした孫子の兵法にあるとおり、戦わずして勝つことをベストとした。
損失を最小にするためである。

もちろん、臨機応変の対応もすばやく、今の状況での最善の選択肢を追究する。
信玄の知略の前には、謙信もほぞを噛むしかなかった。 

戦国武将の人気では、信玄が謙信を上回っているということは、猛進よりも知略を好む人が多いはずなので、西野采配を見て、それもありかと苦笑する人の方がもっと多くてもいい。

その西野采配に対して「コロンビアが勝つという前提だが、もしセネガルが同点に追いついたらどうすんだ」という疑問をもつ人って、采配を硬直したものとみなしている。
「兵は拙速を尊ぶ」のだ。
あちらの試合をリアルタイムで把握しているのだから、すかさずこちらもリスク覚悟に同点を狙う戦法に切り替えるに決っている(ポーランドも戦意喪失していたから、急襲すれば同点も不可能ではない)。
実際には、セネガルが同点に追いつく勢いはないと判断したはず(セネガル戦の方が1分ほど終了が遅かったので、最後の1分は運を天にまかせたろう)。 

かように、私は西野監督に只ならぬ知将の影を見た。