今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

気温と湿度だけが熱中症を起こすのではない

2018年07月21日 | 防災・安全

テレビでは、熱中症の原因として気温と湿度だけを挙げるきらいがあるが、
豊田の小学生の死亡はそれだけではないことを示している。

そこで、体温を上げる要因と体感温度の指標について説明する。
人間の体温に影響を与える外的要因の第一は、当然気温。
人間の恒常性維持機能を利かなくするストレッサーとしての気温は熱中症も低体温症ももたらし、
いずれも簡単に死に至らしめる。

人間には体温維持装置として発汗機能があるのだが、その汗の蒸発を阻害するのが、高湿度
なので、気温が高くしかも(相対)湿度も高いと、体感温度は気温を上回ってしまう。
その指標は「熱指数」で、我が私設気象台「本駒」と「日進」で気温・湿度とともに熱指数を常時配信している
(11:30現在の「本駒」で気温35.8℃、湿度56%、熱指数46.3℃。すなわち湿度だけで10℃以上の昇温効果)。

次に、肌に当るも体感温度に影響を与える。
風速1mにつき体感温度はおよそ1℃下がるといわれており(風冷指数)、
夏山の悪天候下に低体温症で死者がでるのは、気温よりも絶え間ない強風による。

ただし、体温に近い高温下では上の効果は無効になる。
さらに体温を超えた気温になると、逆に熱風を浴びることになり却って体温を上げてしまう。
だから猛暑下では扇風機は役立たずになる。
なので夏季は風冷指数は気温と同じで、熱指数に風の効果を加えたよりリアルな体感温度指数であるTHWも熱指数に等しい。

以上のほかに、体感温度をぐっと上げる要因があるのだが、おわかりか。
日射(太陽光)である。
強い日射を浴びたアスファルトが気温以上になるように、
人間の表皮(服の表面)も強い日射(太陽からの赤外線放射)を浴びるとどんどん昇温する。
太陽という遠赤外線ヒーターで炙られているようなものだ。
THWにこの日射要因を追加した、すなわちもっともリアルな体感気温指数はTHSWという(日本語化されていない)。

我が「日進」ではその計測をしており、ネットでは日の最高値のみ配信している。
それによれば熱指数よりさらに5℃以上高くなり、今の時期だど50℃を越えることもめずらしくない
(たぶん上の時刻の「本駒」では50℃を超えていた)。

豊田で死亡した小学生は、炎天下(ただし気温は最高気温になる数時間前)、公園まで歩いて往復し、
しかも時間をすごしたその公園も木陰がほとんどなかった(さすがに帽子はかぶっていたと思うが、頭部以外は日射にさらされた)。
すなわち、強い日射を浴び続けたことによる”熱射病”(熱中症の重症型)で死亡したのだ。


体感温度への日射の昇温効果は湿度についで大きい。
と言うことで、熱中症の要因は、気温・湿度・日射の3つ。
だから、テレビでも盛んに使われている気温と湿度だけの熱中症指数は、
屋外では鈍感方向にズレていることになる(信用するとかえって危険)!

ついでに低体温症の要因は気温と風速の2つ。

ただし、気温も湿度もエアコンなしでは制御はできないが、日射は簡単に防御できる。
日傘である。

日傘は日陰を持ち歩く道具なのだ。
だから、私は体感温度を上げないために日傘を持ち歩く。