今回のラグビーワールドカップが、これほどまでに盛り上がるとは思っていなかった。
これもひとえに日本チームの予想外の活躍による。
問題は、盛り上がった人気が今後も続くかどうか。
それは今後も日本チームの強さの維持・進化によるだろう。
そもそもかつてラグビーは冬の観戦スポーツの定番だった。
松任谷由実の「ノーサイド」という曲が流行った頃、国立競技場で大学ラグビー(早明戦)を観戦するのが、当時の若いカップルの定番だった(という)。
私自身、毎年一月は高校サッカーと高校ラグビーの決戦をそれぞれ見るのを楽しみにしていた。
ただ、両者を見比べると、展開の速いサッカーに対し、すぐ流れが切れるラグビーは鈍重な感じで、退屈を覚えるようになった。
どんな競技にも観戦の視点から長所と短所がある。
サッカーは攻守の切替えが速いので目が離せない長所があるが、それでいて得点がなかなか入らず、試合が動きにくいのが欠点。
バスケは長所はサッカーを上回るが、こちらは得点が入りすぎで、中間やゴール前の攻防に乏しい。
ラグビーは攻守の切替えは鈍いが、得点はサッカーより入りやすく、中間やゴール前の攻防が激しい。
集団的肉弾戦はラグビーの真骨頂。
それにだいたい80分で終るのも、長すぎなくていい。
ちなみに、私は高校の体育の授業でラグビーをやったことがあるが、そこで習ったタックルのわざは、逃げる相手を後ろから倒すのに使えた。
次に外国との比較。
日本人には体格のハンディがある、という平均値的視点は、選ばれし選手に対しては当てはまらない。
たとえば、バレーボールは、高身長が絶対有利だが、日本は男女とも世界に君臨していたし、今でも上位にいる。
瞬発力を競う陸上短距離走だって、黒人選手ばかりの中、最近は唯一日本人が入り込んでいる。
逆に体脂肪の少ない黒人に不利で、白人に有利だという水泳においても日本人は活躍している。
手足が長い方が見栄えがいいという体操やフィギュアスケートにおいてもしかり。
もちろん、体重と腕力がものいう柔道やレスリングだって得意としている。
ようするに将来性ある逸材を選んできちんと強化すれば、平均的には身長が低く手足が短い日本人でも、世界で活躍できるのだ。
問題は人口減少と長く続く不景気によって、強化すべき競技を絞らざるをえなくなること。
世界的に人気が高いサッカーは外せないとして、その次に来る球技は何か。
ラグビーがその候補に入り込んだのは確かだ。