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生物と無生物の間 福岡伸一
大昔に同じ書名の新書を読んだ記憶がある。そのため既に読んだ本だと思っていたが、最近新しくでたベストセラーと判って、読んでみた。ベストセラーになるのも頷ける、面白くて、しかもためになる本であった。特に、ローザ・フランクリン、シェ-ンハイマーといったあまり知られていない科学者にスポットをあてた部分は感動的である。それも、仕組まれたものではなく、抑制された叙情的な文章からにじみでる感動である。海の妖精がが砂のお城を修復し続ける比喩なども、それにあたる。本書の骨格は、「生命とはなにか?」という問いに対する「自己増殖するシステム」という答えを否定することなく、さらに深いところにある「動的平衡をもった流れ」という答えまでの道筋を丁寧にガイダンスしてくれていることにある。「原子・分子はなぜ我々に比べてあんなに小さいのか」という意外な質問への答えのなかにある真実にも心底驚かされる。知識を得て、心が豊かになる読書とは、こういうものだ。(「生物と無生物の間」福岡伸一、講談社現代新書)
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