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怪魚ウモッカ格闘記 高野秀行
昨年急速に脚光を浴びたエンタメノンフの傑作ということで読んでみた。まず前半部分では、「謎の未知生物探し」という言葉から受ける「子供っぽい行動と思考」という印象と、実際の行動および思考のギャップに驚かされる。本書を読んでいると、「謎の未知生物探し」とは、想像以上に冷静・慎重・地味な作業や思考の積み重ねなのだと判る。そして後半部分は、「あれれ?」というとんでもない事態が勃発して、著者の努力はあらぬ方向へ…。著者は自分の職業を「辺境ジャーナリスト」と呼んでいるが、その「辺境ジャーナリスト」のプロ根性がすごい。目標に近づくだけのために、奥さんと離婚してすぐその奥さんと再婚することを真剣に考えるくだりは、奇妙に感動的だ。途中で話が「ウモッカ」からどんどん離れていき、「そんなことでいいのか」と突っ込みを入れたくなるが、後から考えると、ちゃんと題名にそれが言い表されていることに気づく。本当に面白かった。(「怪魚ウモッカ格闘記」高野秀行、集英社文庫)
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