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新世界より 貴志祐介

本書は期待通りの面白さだった。「進化した人類」が遭遇する未曾有の危機に立ち向かう主人公に感情移入してハラハラしながら読み進めてしまった。前半は、どことなく学園もの風なのだがすでにそこに暗い影が暗示されており、後半に至って一気に世界そのものが瓦解していくような危機が訪れる。しかも誰が敵で誰が見方なのか、どっちが善でどっちが悪なのかも、判然としなくなる。ストーリーの面白さと読み応えに久しぶりの充実感を覚えた。なお、刊行リストをみると彼の作品は10程度しかないが、そのうちの4作品が映画など映像化されている。内容が視覚化に適した作家というよりも、内容の面白さ、場面場面が目に浮かぶような描写のうまさがそうさせているのではないかと思われる。本書も、実際に映画化するとなったら大変そうだが、是非この世界を映像でも味わってみたいという気分にさせてくれる。(新世界より」貴志祐介、講談社)
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