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神の守り人(上・下) 上橋菜穂子
「獣の奏者」を読んだ直後の本書だったので、混乱しないかと少し心配だったが、そのようなこともなく、むしろ両作品の共通の世界観のようなものに気がついたりして面白かった。文庫化された「精霊の守り人」シリーズの楽しみは、巻末の解説がとても充実していることだ。前作では養老孟司、そして本作では「アタック・チャア~ンス」とか「トラベラー・チェ~ック」でおなじみの児玉清と、解説陣の顔ぶれが面白く、その解説も有名人が1ファンとして語っているのが何とも楽しい。児玉清が無類の教養人で読書家だということはどこかで聞いた気がするが、その彼が本シリーズのファンであると知って何だか嬉しくなった。しかも、本シリーズを知ったきっかけが「獣の奏者」を読んだことということで、それ以前からのファンとしてはなんだか先輩になったようで少し気分が良かった。本書の主人公は題名の「守り人」からも判るように短槍使いバルサ。内容は、彼女が一人の少女を助けたことからはじまるこの世界を揺るがすような大事件と、彼女がその大事件の中で過酷な試練に前向きに立ち向かっていくというストーリーだ。序章にその大事件の予兆とも言える凄惨な事件が描かれていて、読者を引きつけ、後は一気という感じだ。本編では何回もバルサが大けがをする。それを読んでいると、こんなに傷ついてしまって、これから大丈夫なのだろうかと心配になる。本シリーズは既に単行本では完結しているので、あとどれくらいこの話が続くのかは判っているのだが、単行本で読んだ人は、本書を読んでここまで傷ついた主人公をみて、シリーズが終盤にさしかかっていることを予感したのではないだろうか。(「神の守り人(上・下)」上橋菜穂子、新潮文庫)
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ヘンリー・フォンダ 衣装 ハリウッド
ヘンリー・フォンダは、死の直前に遺作「黄昏」でキャサリン・ヘップバーンと共演して初めての主演男優賞を獲得した。キャサリン・ヘップバーンが最多のアカデミー賞受賞者であるのに比べて、ヘンリー・フォンダは名優と言われながら、どうしてもアカデミー賞が取れなかった。「黄昏」という映画は、どうしても父親にアカデミー賞を取らせたかった娘のジェーン・フォンダが、自分自身が出演したり、キャサリン・ヘップバーンに共演をお願いしたりと走り回ったという美談が残っている。反戦運動家というイメージが強く、権威主義的なアカデミー賞授賞式など鼻にもかけないようなジェーン・フォンダが既に病床の父親の代理で授賞式に出席して涙していた感動的な場面は今でも良く覚えている。
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