goo

浜村渚の計算ノート3 青柳碧人

ミステリーと数学パズルの融合という変わった設定の話がいつまで続けられるのか、面白い短編をいくつ書けるのかと思っていたが、何の無理も感じさせずに、3巻目を迎えているというのはある意味すごいことだと思う。このあたりはライトノベル業界で鍛えられた職業作家の腕力のようなものを感じる。主人公と悪の組織「黒い三角定規」との頭脳対決という構図はこれまで通りで、その悪の組織にも、独特の美学や矜持があって、主人公の素朴な意見に感動して悪事の手をついゆるめてしまうといった愛嬌さがあるのもこれまで通り。ただ、これまでの2作は、数学パズル自体は簡単というか、直観で理解できる範囲のものだったが、本書では問題自体の理解すら難しいような高度な数学、現代数学の範疇が多くなってきている。1冊目2冊目が好評で作者が自身を持って自分の書きたいことを書き始めたような感じがしてうれしい。「浜村渚の計算ノート3」 青柳碧人、講談社文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )