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ケルベロスの肖像 海道尊
いつのまにか「チームバチスタシリーズ」の最終章が刊行されていた。著者の本は、チームバチスタ以来ほぼ読んできたが、最近はやや粗製乱造ではないかと思うこともあり、2冊くらい読まずに放ってあるのだが、チームバチスタ最終章ということではさすがに放っておけない。本書では、これまでの作品に登場した人物が総出演し、これまでのストーリーがところどころに出てきて、まさにフィナーレにふさわしい作品になっている。しかも、これまでの正式なバチスタシリーズ以外の著者の作品もしっかり読んで、しっかり記憶していなければ理解できないだろうというところも多い気がする。これは少しルール違反ではないかと思うが、バチスタシリーズの作品かそうでないかという区別は、あくまで出版社の都合であり、作者にとっては全ての作品が連動しているという意識なのだろう。内容的にも、AIを巡る現在の医療行政、医療の現場、司法制度に対する著者の思いの総決算となっている。内容面での出来としては、最高傑作というわけにはいかないが、壮大なエンターティンメントの1つが幕を閉じたという思いには大きな感慨を感じる。「(「ケルベロスの肖像」 海道尊 宝島社)
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