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ツチヤの軽はずみ 土屋賢二

著者の本の4冊目。雑誌に連載されたエッセイを本にしたものとしては最初の本ということで、最近出ている本のルーツのような作品だ。読んでみた感想としては、最近の本に比べてまだ大人しい感じがするし、雑誌連載のエッセイでない文章を集めた本に比べても何となく遠慮がちに書いているなぁという感じがする。雑誌連載という場所を得てすぐということで、著者らしからぬ若干の配慮というか謙虚な気持ちがあったのかもしれないし、どこまで書いていいのか手探りの状態にあったということかもしれない。これまでに読んだ4冊の中では最も硬い内容で、著者らしさが出ていない気がしたが、それでも十分楽しめた。これで、最新刊、処女作、雑誌掲載第一作とそれぞれの節目の作品に目を通す事ができたので、これからは、その間の作品を少しずつ読んで、著者の書き手としての変化ぶりを楽しむことにしたい。(「ツチヤの軽はずみ」 土屋賢二、文春文庫)

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