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残穢 小野不由美

著者の本を読むのは初めて。著者については、ライトノベル系の小説やTVアニメの原作者というくらいの知識しか持っていなかったが、明らかにそうした作品とは違う作品のようだったので、ライトノベル系の超人気作家の作品がどういうものか興味があって読んでみた。冷静なルポルタージュのような語り口で、時代を過去にさかのぼっていく構成で静かに語られていくのだが、語り口が冷静であればある程、じわじわと「怖いなぁ」という感情が蓄積されていく。途中で実在の有名な作家等も登場し、本当の話なのか、作り話なのか、混沌としてくるのも怖さの一因だ。怖い話には、「内容が怖い話」と「内容はあまり怖くないが語ってはいけない話」という2通りがあるという話になり、この本はいったいどちらなのか、このまま読んでいいのだろうかという心境になるところも大変怖い。映画の宣伝文句に「決して1人では見ないでください」というのがあったが、本書の場合は、「決して家で1人でいるときに読まないでください」というよりも、「こういう話がダメな人は読まないでください」という感じで、試されているような心境になる。私などはダメな方かもしれないと思いながら、読んでしまった。(「残穢」 小野不由美、新潮社)

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