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怪獣記 高野秀行

トルコのクルド人居住地域の「謎の生物」を追うドキュメンタリー。一般常識的には、行く前から結果は判っているのではないかと思えるような眉唾ものの目撃情報を頼りに怪獣を探し続ける著者の旅は、相変わらず面白いし、感動的だ。クルド問題を巡る政治の動き、面白ければよいといったノリのある意味いい加減な世界のマスコミの姿勢などにも翻弄されながら、少しずつ怪獣の姿を追い詰めていく様子は、かなりスリリングである。しかも今回は、途中から予想外の方向に話は展開し、著者の立場が取材する側から取材される側に展開したりで、びっくりさせられる。本当はいったい難なのだろうという余韻を残してのエンディングもすがすがしい。(「怪獣記」 高野秀行、講談社文庫)

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