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火群のごとく あさのあつこ

数年前にある書評を読んで気にかかり、本屋さんを2,3件回って探したのだが見つからず、そのままになっていた作品。その時に読んだ書評の内容は忘れてしまったが、とにかく絶賛していたのを覚えている。本書は江戸時代の武家の子どもたちの青春群像だ。武家の男子は14歳から15歳で元服をして一人前ということになるようで、主人公達のその直前の時期が描かれている。彼らの世界は、家柄による厳しい隔たりが友情をゆがめてしまう前の世界で、将来進む道の隔たりを感じつつも、小役人の子どもも筆頭家老の子どもも仲良く同じ道場に通い無駄口をたたきあう少年達の物語だ。最初に提示される謎の大きさが、読み手をぐいぐい物語のなかに引き込み、最後まで離さない。巻末の解説に、作者の代表的傑作とあるがまさにその通りだと思う。(「火群のごとく」 あさのあつこ、文春文庫)

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