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卵をめぐる祖父の戦争 ディヴィッド・ベニオフ

一人の少年が語る冒険談。第二次世界大戦下にドイツの包囲されたレニングラードの惨状、戦時下の価値観の異様さがひしひしと伝わってくる作品だ。通常であれば「ばからしい」という一言で済んでしまいそうな任務を帯びた主人公が生き残るまでに、目にしたり体験したりする事柄の1つ1つに読者も一喜一憂し、最後に残るむなしさと悲しい結末にやるせない気持ちにさせられる。戦争を実体験した人の体験談を後世に伝えるということが、いまだに日本の大きな課題になっているが、本書も同じような気運から生まれた作品なのだろうか、と考えさせられた。(「卵をめぐる祖父の戦争」 ディヴィッド・ベニオフ、ハヤカワ文庫)

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