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騎手の一分 藤田伸二

色々な書評で話題になっている1冊。歴代の10傑に入るような名ジョッキーの著者が、引退間近のタイミングで、競馬界にまつわる隠れた問題点を本音で暴露した本ということで、注目を集めている本だ。読んでいると、現役の別の騎手を名指しでぼろくそに言ったり、所属する組織であるJRAを諸悪の根源のように言ったりしているのが非常に痛快で、話題になるのも頷けるという感じだ。50歳を超えてこれまでに1回しか馬券を買った事がない私にも、この本の面白さは格別のものだった。本書によれば騎手という職業は、意外に色々な方面に気を使わなければいけない職業のようで、ここまで言えるのは、著者がものすごい成績を残している名ジョッキーであること、しかも引退間近でもう気を使わなくなくてもよくなってしまったということ、さらに著者がもともと結構やんちゃな人間だったということ、この3つの要素が揃ったからこその1冊だということが判る。それにしても、これだけの成績を残していながら、私は全く著者のことを知らなかった。武豊というスーパースターと現役時代が全く重なっているということで、いつも2番手だったということらしいが、そうした偶然も本書が世に出ることができた偶然の1つだと思うと、本当にラッキーな1冊だと思う。後は、同じような本を是非「武豊」騎手に書いて欲しいと思う。(「騎手の一分」 藤田伸二、講談社現代新書)

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