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島はぼくらと 辻村深月

作品ごとに色々な顔を見せてくれる作家というイメージだが、そうかといってただ文章がうまいというだけではないなにかを感じさせる。本書もそうした作者独特の良さがにじみでてくるような作品だ。5つの章に分かれていて、それぞれの章に、1つの「別れ」が描かれている。ある劇のシナリオを巡る全体を結びつける話も素晴らしいし、母子手帳にまつわる小さなエピソードも素晴らしい。間違いなくこれまでに読んだ著者の作品のなかでの最高傑作だと思う。直木賞受賞後の第1作とのことだが、どこまですごい作家になるのかと期待が膨らむ。(「島はぼくらと」 辻村深月、講談社)

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